植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

野の花

フユイチゴ(冬苺)

冬が迫る今、思い立って箱根に行った。湯本から少し登った須雲川(すぐもがわ)辺り。山の紅葉は終わりかけで、残った枯れ葉が寒々しい。深い谷間の暗い杉林の中を歩いていると、下生えに濃い緑色の丸っこい葉が目立っていた。葉は径5~10㎝で浅く三裂し、周…

白いミゾソバ

相模川の河原には護岸との間に水が溜まってところどころ湿地帯のようになっているところがある。そこに大きな群落を作っていた。遠目には白くしか見えないジミな花である。 よく見ると花の先端がちょっとだけ薄紅色に染まっている。私には和風の感じがして、…

カワラナデシコ

カワラノギクの近くに植えてあったもの。草丈は30㎝ぐらい。花の直径は4㎝ほどで、これも思っていたより大きい。秋が深まって淋しくなった河原で存在感を示していた。以前から探していたのだが、ついに自生のものには出会えなかった。 パールピンクの花びら…

カワラノギク

多摩丘陵は多摩川と相模川にはさまれている。どちらも大きな川だが、日本でもほぼその河原にしか見られないという植物がある。カワラノギク(河原野菊)である。と言っても絶滅もしくは絶滅寸前だ。玉石がゴロゴロしているような氾濫原が生育環境なのだが、…

野草の紅葉

そろそろ山沿いなどでは木々の紅葉が始まっている。足元の草の方は花の季節が終わりかけて枯れたものが目立ち、寂しい風情(ふぜい)である。しかし野草の中にも紅葉するものがある。 画像はイヌコウジュである。草丈は40~50㎝。全国に分布するシソ科植物だ…

くすんだノギク

秋の郊外散歩で目を楽しませてくれる草花。主役は様々な野菊である。いたるところで咲いていて秋らしい風情(ふぜい)を醸し出す。近場の丘陵地では主にノコンギクとシロヨメナで、画像は後者である。雑木林の中の道沿いなど日陰に多い。 9月末から咲き始め…

オオバクサフジ(大葉草藤)

秋晴れウオーキングの続き。神奈川県伊勢原市の塔の山(標高203m)緑地公園というところで展望台に登った。マスクで登るのは結構ツラかったが、前後に人がいるので仕方がない。ただし上からの眺めは最高。伊勢原の街から、湘南台、江の島から三浦半島、横浜…

ヒヨドリジョウゴの実

霧雨の降るなか雑木林の横を歩いていて、草むらで赤い実を見つけた。ヒヨドリジョウゴの実だ。雨に濡れてフレッシュな感じが引き立っている。 以前花を紹介したことがある。白い花弁から大きな黄色い雄シベの束が突き出した、典型的なナス科の花の特徴を持っ…

オオイヌタデ

花盛りのタデ科植物の中で一番大きく、草丈が1mを超えて伸びているものも珍しくない。水田の近くなど水辺に多い。一方、イヌタデは高さ20㎝ぐらいだが、空き地や道端で一面に広がっていることがある。 花穂が6~7㎝と長く、垂れているのが特徴だ。イヌタデは…

雨に濡れたヌカキビ

ちょうど霧雨が降っていて、花穂に細かい水滴が無数に付き面白い画像になった。光が差せばきれいだろう。 草丈50㎝ぐらい。花茎(かけい)が細く何度も枝分かれしてさらに細くなる。それとともに花穂が大きく広がり径30㎝ぐらいある。先端に2,3個の花(小穂…

ママコノシリヌグイのトゲ

郊外の田園地帯に行った。今頃は畦道や土手などに様々なタデ科植物の花盛りだ。地味なものが多い中でやや目を引くのがミゾソバ、(アキノ)ウナギツカミ、そしてこの花である。皆、変な名前だが正式名称だ。いずれも球状の花序でありよく似ている。しかし、…

タイアザミ

秋咲きのアザミ。近場の里山ではノハラアザミが多いが、箱根ではこちらをよく見かけた。花期は8~11月である。 花が上を向くノハラに対して、横向きか少し下を向いている。また葉が深く切れ込んで先端が大きな鋭いトゲになっている。花の基部のガクに当たる…

アケボノソウ

場所は箱根の湿原だ。ほとんど実になっていたが、ようやく花を見つけた。名称は花びらの斑点を夜明け(あけぼの時)の星空に見立てたことに由来する。接写で拡大してみて改めてその澄み切ったたたずまいに驚いた。見方によっては奇妙な模様なのに、おそらく…

ヤマアジサイの花

箱根登山鉄道の沿線はアジサイが有名だ。季節には華やかな園芸種がみごとである。一方、登って行く道路沿いにも野生のものが多数みられる。画像のものは山の上の温泉街近くの遊歩道で見つけたヤマアジサイである。 普通は5月末から6月が開花期、11月頃までポ…

センブリ

リンドウ科のカワイイ花。先が尖った花びらや鋸歯の無い細い葉がリンドウに似ている。花期は秋で8-11月。草丈は10㎝ぐらい。画像のものは横倒しになったものが立ち上がって花を付けたようだ。永年探していたのだが、小柄のため見落とし易いようで、今まで実…

ウナギツカミ

以前はアキノウナギツカミ(秋の鰻掴み)と呼ばれていた。茎が長く断面が四角形で稜に下向きのトゲが多い。そのためヌルヌルの鰻でも掴めるというのが名前の由来だ。「アキノ」が付くとますます変な響きになる。名前だけ知っていて、一度見てみたかった花で…

オトメアオイとイトスゲ

箱根で見つけたちょっと珍しい植物。と言っても超ジミ。興味がない人には見向きもされないだろう。 まずオトメアオイ。漢字にすると「乙女葵」で、何か伝説でもありそう。しかし御覧の通り何の変哲もないカンアオイの姿をしている。葉の大きさは6-7㎝ぐらい…

ヤマゼリ(山芹)の花

久しぶりに箱根に行ってきました。自宅から2時間弱なので一応近場である。山の上の方にある遊歩道沿いの植物にはさすがに外来種はない。高山植物とまではいかないが、身近ではなかなか見られない植物が多く楽しい。歩き始めて最初に目についたのがこの花であ…

メヤブマオ(雌薮苧麻)

余りにも地味なのでこれまで取り上げなかった植物群がある。イラクサ科カラムシ属の仲間である。カラムシ、ヤブマオなどがあるが、皆よく似ている。林縁の半日陰のようなところに生えていること多く、少し陰気。夏場は独特のしわのある灰色がかった葉を繁茂…

シモバシラの花

以前から見たかった花。純白の花が「霜柱」のイメージそのものだった。丸っこい花から雄シベが突き出し列になって並ぶところが繊細な氷の束に見える。 シソ科の多年草。草丈は50㎝ぐらい。低山の林内に生える。これは近場の植物園のもの。名前の由来は見た目…

ツルボの群生

多摩丘陵にある神社の参道脇。そろそろ秋祭りなので草刈りがされ日当たりが良くなった斜面に、ツルボが群生して花を付けていた。桜並木があり陰になるせいか、普通のものよりヒョロリとしてやや斜めになっている。 この画像は9月初めのものでまだ咲き始めだ…

フェンスのマルバルコウ

8月後半から夏草の中にチラホラ見えていた赤朱色の花。住宅地の河川沿いの長い網フェンスをツルが這い上がったと思ったら、いっぱいに広がり、今頃になって大量に花を付けた。径1.5㎝ぐらいの小さな花だが遊歩道を歩いているとなかなか見ごたえがある。拡大…

シマスズメノヒエ

マンションや民家が続く住宅地を流れる川。護岸はコンクリートで固められ両側が広い歩道になっている。日当たりが良く様々な植物が見られる。クルマが通らず人通りもソコソコなので時々立ち止まって観察しても大丈夫だ。このところ路傍の雑草ばかりなのはそ…

ジュズダマ

ハス池のたもとに生えていたもの。川辺などの湿地を好むようだ。先端に穴の開いた独特の丸い実は、子供の頃投げて遊んだものだ。スベスベした感触で、何かにぶつけるとカチンと音がするぐらい硬い。穴を貫通させて糸で繋ごうとしたがうまくいかなかった。 熱…

ソクズの花と蜜腺

今頃の野草は繁茂するばかりで、興味を惹かれるものに出会うことはほとんどない。あっても地味な白い色の花が多い。と言いつつまた白い花である…。 多摩丘陵の人家近くの空き地に7月頃からこの花が咲き続けていた。草丈は1.5m以上あり群落になっている。夏草…

マツカゼソウの複葉

前回複葉の話が出たので思い出したのがこの植物だ。山地の林縁に自生するミカン科の多年草で、松風草という風流な名前が付いている。 コボタンヅルの葉は3x3=9枚の小葉からなる(2回3出)が、この草はさらに3倍の27枚で1枚の葉(3回3出)を構成…

コボタンヅル(小牡丹蔓)

前回のアキカラマツに絡まっていたつる植物。花は付けていたが、以前紹介した同じキンポウゲ科のボタンヅルだと思ってスルーしていた。しかしどうも全体の感じが異なる。そこで調べてみるとコボタンヅルという変種であった。 日本から中国まで山地の林縁など…

アキカラマツの花

多摩丘陵の日当たりのよい林縁。繁茂する夏草に混じって見慣れぬ花を見つけた。調べるとアキカラマツ(秋唐松、秋落葉松)というキンポウゲ科の植物であった。 花に花弁がなく、多数の雄シベがカラマツの葉のようなカラマツソウという植物の仲間だ。花期が夏…

エノコログサ

これも道端の夏草。日当たりのよい所を好むようだ。画像のように他の草と入り混じっていることもあるが、単独の塊になっていることも多い。ものすごい量の種を振りまくせいであろう。緑一色なので遠目にはわからないが、近づくとすぐわかる。 イネ科で雑穀の…

タチスズメノヒエ(立ち雀の稗)

珍しめの植物が見たいと思って丘陵地の雑木林を歩いてみた。猛暑とここのところの天候不順でひどく蒸し暑い。当然誰も歩いていない。汗だくになり、蚊や小さな虫が寄ってきて鬱陶しい。しかも目ぼしいものはナシ。アブラゼミのジージーという鳴き声にミンミ…