植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

野の花

ノギクの花11月初旬

11月に入っても昼間は暑い日が続く。それでも、多摩丘陵を歩いていると様々なノギクの花に出会う。季節はちゃんと進んでいる。秋たけなわだ。 ヤクシソウとシラヤマギク(画像上) 2週間ほど前に見つけたノギクの群生地に行ってみた。ヤクシソウ(黄色)はま…

マヤラン(摩耶蘭)

薄暗い雑木林の中の小道の脇で花を付けていた。出会ったのは今回が初めてである。草丈が5㎝ほどしかなく枯れたササのようにしか見えない。多摩丘陵でも見られるとの情報があるので気を付けてはいたが、こんな繊細なものとは思っていなかった。 花はガクが3…

9月中旬里山の花

近場の住宅地。低い丘陵が自然公園として残されている。草刈りなど手入れがされておりかつての里山の植物がみられる。まだ蒸し暑い日曜日に歩いた。 ハギの花と黄蝶(画像上) 秋の七草にも入っている萩の花は今盛りだった。少し派手なので園芸種のミヤギノ…

石神井公園で見られた植物

前回の続きで、水辺のもの以外の植物を見ていく。 牧野富太郎が94歳で亡くなったのは1957年(昭和32年)で、その頃の石神井池の周辺はまだ田畑や雑木林が広がっていたと思う。公園の周辺には昔の自然環境やかつての人々の営為の名残と思われる植物が残ってい…

牧野記念庭園

NHKの朝ドラで注目が集まっている牧野富太郎。その旧居が東京都練馬区の西武線大泉学園駅近くにあり公園として保存されている。9月に入ったとはいえまだ暑い日曜日、現地を訪れた。住宅地の中だが遠目に少し変わった印象を与える高木(ダイオウマツなど)が…

ウバユリ

真夏の今ごろ咲くユリである。近場の多摩丘陵でも見られるそうなのだが、どういうわけか今まで自然のものに出会ったことがなかった。今日、少し離れるが高尾山(東京都)に行ったところ普通に見られたので驚いた。前回のタマアジサイもそこら中で群れ咲いて…

タマアジサイ

先週の奥多摩では川沿いの林縁でよく見かけた。アジサイの仲間だが花期は遅く8-9月だ。まだほとんどがツボミの状態だった。 落葉低木で樹高は1~2m。日本特産種。山地の川沿いなど半日陰で少し湿った場所に自生する。名前の由来はツボミが球形であることに…

多摩川上流のノカンゾウ

関東地方も梅雨明けした。ここのところの猛烈な蒸し暑さが少し収まったような気がする。今日は久しぶりの奥多摩(東京都)だ。深い谷間は緑の木々に覆われ、日差しはきついが気温は下界より2~3度低い感じ。何より見上げる空の青色が澄んでいる。駅から数分…

7月中旬の植物

このところ関東地方は猛烈な暑さで、晴れた昼間に外を歩くのは危険だ。今日はようやく曇って少し風も出てきたようだ。近場(電車で15分)の丘陵地を歩いてみた。木々の緑が濃いので、よく注意していないと見過ごしてしまう。 ウワミズザクラの実(画像上) …

谷戸田(やとだ)周辺の植物

多摩丘陵の谷は、奥に水が沸いていて小川が流れ出しており、水田として利用されていることが多い。これを谷戸田という。周りの里山も含めて古くから人と自然がかかわりあいをもってきた歴史がある。このような場所は植物も独特である。 タチアオイ(立葵、画…

タカトウダイ(高燈台)の花

トウダイグサの仲間の中では背が高く、この個体は80㎝ぐらいある。花は春4月の高尾山で見たナツトウダイ(夏燈台)のアバンギャルドな花をおとなしくしたような構成になっている。開花時期からいうとこちらの方が「夏」にふさわしい。 トウダイグサ科の花は…

イグサ(藺草)

標準和名は「イ」といい、日本最短だ。多摩丘陵の谷水田の畔に生えていたもの。 藺草といえば畳表に使われ、あの匂いを思い出す。都会のマンションでは畳はもう使われなくなっているかもしれないが、近所ではご町内に一軒ぐらい畳屋がまだある。最近は、純植…

ヤブカンゾウ(藪萱草)

梅雨も後半となり晴れると高温多湿でもう真夏のようだ。駅で電車を待っていたら線路脇の草むらの中にヤブカンゾウの朱色の花を見かけた。今年もこの花の時期になったなあと思う。 水田の近くなど湿気が高い場所を好む。近場の丘陵地ではちょうど田植えの時期…

テリハノイバラ2023

好きな植物で毎年紹介している。近場では今頃が開花期で、日当たりが良く風が強い河原や丘陵地に多い。葉は普通ツヤのある濃緑色だが、この個体は珍しく全体に黄色っぽくて黄緑色をしている。 花の直径は4㎝ほどもあり野バラの仲間では大型だ。しかし花びら…

5月中旬の花

最近晴れると日差しが強く感じられ空気も湿気を帯びてきて夏の気配だ。今の時期、草木は葉をぐんぐんと伸ばしているところで花を付けているものは少ない。ここ10日ぐらいで街や近場の丘陵地で見かけた花。 ヤマボウシ(画像上) 公園にあった大木。木全体を…

5月初旬の野の花(青、紫)

連休中に近場の低山で出会った花。 ホタルカズラ(画像上) ムラサキ科。一度近くの里山で見かけたことがある。今回は山の中の林縁に固まって生えていた。 ハンショウヅル(半鐘蔓、画像下) キンポウゲ科のツル植物。神社の植え込みに絡まっているものを見…

5月初旬の野の花(黄色)

低山の林の中の道を歩いていて出会った植物。少し谷間のようになっていて、たまに木漏れ陽があるぐらいの半日陰。近くに沢があり、所々崖から水がしみだしているような湿気の高い場所である。先ずは一番目立つ黄色の花から。 キンポウゲ(ウマノアシガタ、画…

ニョイスミレとシラユキスミレ

ニョイスミレは近場では一番遅く咲くスミレだ。丘陵地や山地の沢沿いなどやや湿ったところの明るい木陰に群生していることがある。他の草の中から長い花茎を伸ばし小さな花をつける。花色は白く、唇弁(しんべん、下向きの花びら)に紫色のスジの模様が入っ…

マルバウツギ

連休中低山のハイキングコースを歩いた。東京都と神奈川県の境ぐらい。薄暗い林の中の道には花をつけたコゴメウツギ(バラ科)が次々に現れる。それに交じって大きめの白い花を咲かせていたのがこの木だ。本来は円錐形の花序(花の集まり)が立ち上がるが、…

タツナミソウいろいろ

雑木林の林縁の斜面、半日陰のような場所。今は緑の草でいっぱいだ。その中でスッと花穂を伸ばしているのがこの花。澄んだ青紫色が蛍光を発しているようで美しい。多摩丘陵では至るところで見られる。 シソ科の多年草。本州以南に分布する。名前の由来は、花…

4月後半の木の花

今頃の雑木林の中で咲いている木の花は白いものばかりで地味だ。咲いていることすら気づかない人も多いだろう。葉が鬱蒼と茂って薄暗く、赤や黄色の花では授粉してくれる虫たちに対して目立たないのだろうか。ともあれ爽やかな印象で、今頃の空気感の一部に…

ミズキの花

ミズキは高木で、今頃樹冠に白い花をつける。小花は径8㎜ほど。細い花びら4枚が十文字型につき、4本の雄シベが交差するシンプルな作りで、密集した花序をつくる。遠くから見るとワタを被ったようだ。甘酸っぱい香りがする。 ミズキ科。春先に枝を切る(やっ…

ツリバナ(吊花)

宅地化された丘陵地。その一角に残された雑木林の中の道を歩いた。樹高3mぐらいの木の枝から小さな花が長い柄でぶら下がっている。花が空中ブランコに乗っているような奇妙な感じだ。「吊(つり)花」という名前はよく花の様子を表していると思う。 ニシキ…

カマツカの花

4月も下旬になり、多摩丘陵の新緑も落ち着いた色に変わってきた。今の時期、木の花は爽やかな印象を受ける白色のものが多い。そんな雑木林の林縁でウメに似た花をつけていたのがこの木である。わずかに紅色の入った白い球のようなつぼみも点々と星のようで…

サワフタギ

丘陵地の雑木林の中。コナラなどの高い木の下に高さ3mぐらいの木があり、純白の花をいっぱいに付けていた。花は直径8㎜ぐらい。筒状の花が根元で5枚に分かれている。多数ある雄シベは花びら(花冠)より長く、フワッとした羽毛のように見える。香りはな…

4月下旬の野の花

多摩丘陵の春は、野の花が次々と入れ替わっていく。3月下旬から4月初旬に一度スミレなどの開花のピークがあり、その後しばらく間があって、例年はゴールデンウイークごろにもう一度一斉に花が咲く。新緑の下で目立たないが、個性的な植物群である。 今年は…

高尾山の植物:春

高尾山は標高600mである。山道を歩いているとスミレ類のほか、ヒトリシズカ、イカリソウ(画像上)、ヤマルリソウなど、近場の丘陵地(里山)ではほとんど見かけなくなった植物が普通に咲いていた。一方、山地でしか見られない春の花には、すでに紹介したも…

ヨゴレネコノメ(汚れ猫の目)

これも高尾山。登山道の渓流沿いにヨゴレネコノメが群生していた。花は終わっているようで、茶色い粒状の実が葉の上に乗っている。濃い緑に黄色い苞葉(ほうよう)が、そこだけ日が当たっているようで美しい。以前から見たかった植物である。 山地は、標高に…

フタバアオイ

徳川家の紋所で有名な三つ葉葵のもととなった植物である。葉の形と葉脈の様子を見ると納得できると思う。大きな園芸店の山野草コーナーで鉢植えを見たことはあったが、高尾山では普通に自生していて群落になっている。しかも今回は花まで付けていてうれしく…

ナツトウダイ(夏燈台)

画像だけ見せられると「何じゃこりゃ」となるが、ナツトウダイという植物の花である。何かに似ていると思ったら色といい形といい岡本太郎の作品ぽい。(前の)大阪万博(1970年)のシンボルである太陽の塔をつくった芸術家である。 この植物の花序は独特で複…