珍しめの植物が見たいと思って丘陵地の雑木林を歩いてみた。猛暑とここのところの天候不順でひどく蒸し暑い。当然誰も歩いていない。汗だくになり、蚊や小さな虫が寄ってきて鬱陶しい。しかも目ぼしいものはナシ。アブラゼミのジージーという鳴き声にミンミンゼミとヒグラシが混じり、季節の移ろいを感じるだけ。あとは夏草が繁茂するばかり…。
道端の夏草で目立つのはヒメジョオンなどを除くと、ほとんどがイネ科のものだ。オヒシバ、メヒシバは分かるが、他はみな似ていて見分けがつかない。そんな中で背が1.5mほどと高く草むらから穂を突き出しているものがあった。珍しいものではないが調べてみた。
南アメリカ原産のイネ科植物。近縁のスズメノヒエは穂の枝分かれが3~4本だが、これは10~20本と多いのが特徴。個々の副穂は若いうちは雄シベの葯で白く見え、実が成熟したものは茶色っぽくなる。
ヒエ(稗)は最近では健康食品などに使われているいわゆる雑穀類である。役に立たないヒエという意味で「スズメ(雀の)」が名前に付いている。穂が直立するので「タチ(立ち)」というが、成熟すると垂れてくるようである。
道端の雑草でも名前が分かると嬉しい。