植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ホウライシダ

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冬が近づき、近場の植物も少なくなってきた。そのため冬も枯れないものが多いシダ類なども扱ってみようと勉強中である。

 

画像は、新興住宅地の中のかつての里山を残した公園で見つけたもの。水路沿いの湿ったところに群落になっていた。場所は本来日陰だが、冬場は高い木が葉を落とし太陽が低くなり、日が射すようになっている。落ち葉の中でイチョウに似た黄緑色の葉が目立つ。

 

ホウライシダ科のシダ植物。園芸種はアジアンタム(Adiantum)と呼ばれ、観葉植物として人気がある。街で見かけることも多い。なるほど、葉が薄く形が変わっており、葉の柄(え)も黒くて細い。全体に繊細でオシャレな印象を受ける。

 

世界の温帯~熱帯に分布し、日本でも近縁種が南日本の山野に自生する。ただし今回のものは外国産のものが逃げ出して帰化したもの。乾燥や低温に弱いが、温暖な都市近郊に安住の地を見出したのだろう。こういうものが増えることの可否はさておき、つつましく暮らしている限りはそっとしておいても良いのではないか。

ベニバナボロギク

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草丈は50~60㎝ぐらい。ヒョロっとした姿に下向きの花をたくさんつけている。花が終わると上向きになり、タンポポのような綿毛の付いた種の穂になる。花色がレンガ色というかくすんだ朱色で独特だ。花期は8~10月とされているが気が付かなかった。寒風が吹く今になっても咲いていて目立つようになった。

 

画像の場所は住宅地の中の広い公園、遊歩道沿いだが、トラクターが走った後放置された農地などにも群落がみられた。森林の開発などでできた新しい荒地にいち早く現れるので「パイオニア植物」と呼ばれる。数年繁茂した後、他の植物が生えてくると消えるそうである。ススキやタケニグサなどもそうだ。

 

アフリカ原産でキク科の一年草。日本では戦後に確認された。花びらがなく、独特の形をしたガク(総苞)から筒状の花の束が突き出している。首(こうべ)を垂れてなんとなくうらぶれた雰囲気がボロ(襤褸、裂けて汚れた衣類)と呼ばれる所以(ゆえん)かもしれない。

 

ただ拡大すると見ごたえがある。飾りつけのモールみたいだ。レンガ色の雌シベの先が2つに割れてクルリと丸まっているのが分かるだろうか。

 

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原種スイセン

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古い住宅街の園芸店。丘陵地にあり、急斜面を利用した広い庭園のあるお宅を改装したものである。色々なところにセンスが光る。今の時期置いてあるのはシクラメンスイセンが主だ。見たことのない変わった色や形の花や、珍しい原種の鉢などを見せていただいた。その中にあった花である。

 

画像はスイセンの原種とのこと。草丈は10㎝ぐらいとごく小さい。葉も花もじつに繊細な作りだ。花の筒状の部分を副花冠というが、透明感のある薄い織物のような質感である。小さい花びらが6枚飾りのように付いており、アクセントになっている。花を見ていると吸い込まれそうな魅力がある。

 

ヒガンバナ科の球根を持つ多年草。地中海沿岸から西アジアが原産地で、原種は約30種類知られている。これはペチコート型と呼ばれるタイプである。どこか艶めかしいのはそのせいか。

 

こういうものがあることは初めて知った。後でネットを調べると色々な種類が売られており、そんなに珍しいものではないようだ。店で欲しいと思ったが、葉が小ネギみたいで間違えそうと思い、やめておいた。スイセンヒガンバナと同じで有毒である。

フユイチゴ(冬苺)

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冬が迫る今、思い立って箱根に行った。湯本から少し登った須雲川(すぐもがわ)辺り。山の紅葉は終わりかけで、残った枯れ葉が寒々しい。深い谷間の暗い杉林の中を歩いていると、下生えに濃い緑色の丸っこい葉が目立っていた。葉は径5~10㎝で浅く三裂し、周囲の鋸歯は先がトゲのようになっている。何かに似ているなと思いつつ歩いていたが、花も実も見えないのでわからない。ツル性で地面を這っている。

 

たまたま葉の下が見える場所があり、小さな赤い実が付いていることが分かった。他を探すと少しずつだが結構ある。この感じはキイチゴの仲間だ。ちょっと驚いた。近場のキイチゴは春~初夏が花期で、夏に実が熟し、冬は葉を落とす。常緑で、冬に実が熟する種類があることが信じられなかった。

 

バラ科キイチゴ属。東アジア南部、日本では関東以西に分布し、森林の下生えに出る。花期は9~10月で、11月~1月に実ができる。キイチゴ類の中では味は良い方とのことだ。この時期、箱根に植物は期待していなかったので、意外な発見であった。

岩に刻まれた同心円

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硬い岩石に渦のような模様が刻まれている。周囲にもいくつか渦が見える。何か意味ありげで想像が広がる。場所は先日の神奈川県伊勢原市の丘陵で、丹沢山地の麓にあたる。崖に顔を出していた。

 

よく見ると渦は同心円で、幅1㎝ぐらいの多数の層からなっている。円は中心部まで幅がほぼそろっており、周辺に行くほど角張ってくる。元の岩石はきめの粗い凝灰岩(ぎょうかいがん)のようである。海底火山の火山灰などの噴出物が固まったものだ。丹沢のものは本来割るのに苦労するほど硬いのだが、これは手でもボロボロ崩れる。

 

種を明かせば、これはいわゆる「玉ねぎ状風化」と呼ばれる地質学的な現象である。「風化(ふうか)」とは、地表の岩石が風雨や日射、生物などの作用で次第に破壊されることをいう。硬い岩でも地中で様々な力を受けて微小な割れ目が生じる。地表に出ると水の作用も加わって、温度変化で割れ目が膨張収縮を繰り返すうちに、一定の条件が揃うと起こる現象である。色々な岩石で起こるがこんなきれいなものを見たのは初めてだ。

 

丹沢山地では牡丹(ボタン)石ともいわれ、登山道沿いなどでよく見られるとのこと。これも大地の悠久の歴史が作った自然の記念物の一つである。

マメヅタ

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秋が深まり、木々が葉を落とし草が枯れてくると目立ってくる植物だ。大木の幹に付いたコケの上にキヅタと一緒に生えていた。雑木林の中など薄暗くて湿った場所を好むが、面白い形をしているのでどこかで目にされたことがあると思う。

 

豆蔦。「ツタ」と言ってもウラボシ科のシダ植物である。直径1㎝ぐらいの膨らんだハートのような形の丸い葉で、少し厚みがある。シダ特有の単純な緑色でツヤがある。バラバラに並んでいるように見えるが、じつは細い緑の糸状のもの(匍匐枝、ほふくし)でつながっており、接合部から根(仮根)を出して木の幹などに付着する。画像をよく見ると匍匐枝が見える。

 

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ヘラ状で茶色の胞子をいっぱいつけた胞子葉(ほうしよう)もついている。小さくて分かりにくいので、別の場所で撮った拡大画像を示す。長さは2~3㎝で胞子嚢が2列になっている。下は箱根の谷底で巨岩の表面にびっしりついていたもの。これが付いていると深山幽谷の雰囲気になる。

 

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ヒマラヤザクラ

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晴れてはいても寒風が吹く中咲いている桜だ。前回と同じ公園で教えていただいたもの。高い木で、上の方で他の木に紛れて咲いているため今まで気が付かなかった。名札にヒマラヤザクラとある。

 

20世紀後半にネパールの元国王から日本の桜などと交換に贈られたとのこと。その子孫であろう。ヒマラヤの高地に自生し、30mの高木になるそうである。寒冷な気候のものが、高温多湿の日本でよく定着したものだ。

 

花びらは薄いピンク色で中心部の色が濃い。多数の雄シベが突き出していて、花の中心が黄色く見える。花びら全体がやや抑えた感じのピンク色のものもあるそうである。受粉のため、たくさん花を付けて数少ない冬の虫を集めているのだろう。新葉が花と同時に出るタイプで、幹や枝はヤマザクラに似てつややかだ。

 

花期は11月から12月。この時期園芸種の寒桜は時々公園や庭で見ることがある。ただチラホラ咲きに近い感じで寂しい。近場では真冬の2月に花盛りになる河津桜カワヅザクラ)が有名だが、今頃満開のものはちょっとないのではないか。