植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

梅雨入り直前の雑木林

空はどんよりした雲に覆われているが雨は降っていない。梅雨入り目前の朝、近くの丘陵地の雑木林の中を歩いた。空気はひんやりしているが、湿度は高く汗が出てくる。今は葉が繁る時期で花は少ない。咲いていても地味だ。よく見ると木の葉の下に実がなっていることがある。

 

コマツナギ(画像上)

林縁に多い低木。花は5mmぐらいで円錐形の花房を作り、葉は羽状複葉で典型的なマメ科の特徴を持つ。

 

ムラサキシキブ(画像下)

シソ科。この丘陵では至る所で見かける小高木。今花盛りで付近は甘酸っぱい香りに覆われる。今年はクリの花の生臭い香りが混じっていて少し難あり。

 

ヒメコウゾの実

葉の下で暗くなっているが、明るい橙色の実である。食べられる。クワ科の灌木。和紙の原料になるコウゾはこの植物とカジノキ(これもよく見かける)との交配で作られる。かつて栽培されていたので里山に多い。

 

ホタルブクロ

キキョウ科の多年草。林の中の小道周辺の薄暗い場所にドクダミとともに多く見られる。白っぽいものから赤紫まで色のバリエーションがある。

 

ナワシロイチゴ

バラ科キイチゴの仲間。花期は5-7月。花は5弁で径1.5㎝と小さく、大きなガクが目立つ。初夏に実がなるので「苗代」の名がある。

 

ウグイスカグラの実

スイカズラ科の低木。林縁や林床に多い。3-5月に淡紅色の小さな花を付ける。6月に長さ1㎝の透明感のある赤い実に変わる。食べられるがほとんど甘さは感じない。

ツバメ

いつもの街中の川。5月に入ってからツバメの姿が観られるようになった。2~4羽がもつれ合うように低いところを高速で飛ぶ。なかなか迫力がある。但し私のカメラの腕では飛行の撮影は不可能だ。しかも出入りを見ていると巣は橋げたの下にあるらしく、全く見えない。

 

6月になってたまたま民家の前でとまっているツバメを見つけた。近くに寄っても逃げない。よく見ると軒下に巣がある。一羽だけ中にとどまっているのは卵を抱いているのか。巣の保護用に色々と処置がされているのは、家主の方の心遣いだ。

 

ツバメ科の夏鳥。東アジア南部から繁殖のため日本に渡ってくる。頭から尾の先まで17㎝(図鑑による)。意外と小さい、頭頂から首、羽根は黒く、額と喉は赤茶色。胸から腹部は白い。ダークスーツに白ワイシャツ。渋いエンジ色のアスコットタイというコーディネートである。

相模川遊歩道

近場では大きな川で川水はきれいである。河川敷の公園も広大でよく整備されており、ゴミが落ちていたりすることもない。ゴールデンウイーク後半の気持ちの良い日に川岸の遊歩道を歩いた。

 

相模の大凧祭り(画像上)

ちょうど大会の日だった。この凧の大きさは壮観である。年々参加団体が増えているようだ。本番直前なのに風が弱くてちょっと心配になった。遠景は丹沢の大山。

 

ミツバツチグリ(画像下)

公園の草地で一面に咲いていた黄色い花。ヘビイチゴに似ているが赤い実ができないキジムシロの仲間だ。オヘビイチゴ(雄蛇苺)にもそっくりなので判断に迷ってしまう。三小葉の複葉で、五小葉のものが見えないためミツバツチグリとした。

 

ヘラオオバコ

オオバコに類縁の外来種。これも草地に広がっている。草むらから突き出した花穂が下から咲いていき、雄シベがリング状に広がるのが面白い。子供のころ遊んだ棒型の花火を思いだした。

 

サギたち

川の中の堰(せき)のところに集まっている。瀬(せ)のようになっていて水深が浅く魚を捕えやすいのだろう。白いコサギが主で灰色のアオサギも交じる。水の静かなところではカワウも見られた。

 

マユミ

河川敷の茂みの中。地味な薄緑の花である。今は葉も枝も濃い緑一色だが、秋のピンクの袋が裂けて出てくる赤い実は華やかだ。

 

シラカシ

河岸の斜面に生えた木の花。気を付けてみないと分からない。この付近の山にはシラカシの大木が多い。ドングリが流れてきて芽を出したものか。

 

キイチゴの実

林縁のフェンスの間から突き出していた。赤い実と葉の形、実のなる時期から見てクサイチゴだと思う。

 

ヘビイチゴ

道端で見つけた。花が終わって枯れ始めている。紅く丸い実が目立つ。蛇という名前から食べる気はしないが、甘くないそうである。

川筋に花の香り

ゴールデンウイーク後半。緑の多い相模川(主に神奈川県相模原市)の河岸を歩いた。川筋のそよ風が心地よい。一帯は濃い花の香りに包まれている。

 

ノイバラ(画像上)

香水のようなバラの香り。今の時期上流部の山地はこの花に覆われる。種が川を流れてきて下流に定着したようだ。かつての河川敷(氾濫原)に当たる場所に多く見られる。

 

ニセアカシア(画像下)

もう一つ、マメ科に多い甘い芳香を発している樹種。河川敷に花で真っ白になった大きな木が数本ある。北米原産で、荒れ地でも生え生育が早いため、かつては砂防治山用の緑化樹として上流に植えられた。その種が川を流れ下ったのだろう。アカシアとは葉の形が似ている。街路樹にもよく使われるので一般に「アカシア」と呼ばれるのはこちら。

 

フジ

公園や民家で藤棚になっており甘い香りはお馴染みである。画像は10日ほど前に訪れた上流部の河岸の林に、点々と見られた自生のもの。ツルが他の高木を20mほども這い上がって樹冠に花を付けている。

 

スイカズラ

生垣や公園の植え込みにツルを絡ませて花を咲かせている。そばを通るとすぐわかる爽やかな甘い香りだ。

4月末雑木林の花

ゴールデンウイーク前半、快晴の休日、キンラン(金蘭)を観に行った。多摩丘陵の一角で毎年恒例にしている穴場である。雑木林の中は新緑が頭上を覆うため薄暗い。地面のササや下草が刈られており、多くの種類の日陰の植物が芽を伸ばして花を付けている。先ずキンランとその仲間から。

 

キンラン(画像上)

花はちょうど咲きそろったところだった。黄色い花は小さくて完全には開かないが、立派にランの形をしている

 

ギンラン(銀蘭、画像下)

いつもキンランの近くで観られる。小柄で草丈は半分以下だ。花もずっと控えめでほとんど開かない。しかし楚々とした美しさがある。

 

ササバギンラン(笹葉銀蘭)

花期がやや遅く、花穂がようやく出てきたところ。花はギンランそっくりだが、花の下の葉(苞葉)が花穂より長いのが特徴。

 

クゲヌマラン(鵠沼蘭)

同日に別の場所で撮影。ギンランによく似ているが、花の根元に突き出す距(きょ、蜜の袋)が目立たない。花は終わりかけで下の方が茶色くなっている。

 

シャガ

アヤメ科。日陰のやや湿った場所に多い。種ができないため人為的に植えられたもの。中国原産。古くに渡来したもので、ほとんど野生化している。

 

サワフタギ

ハイノキ科の小高木。日陰でもどっさり花を付けている。9-10月に青(藍色)の実に変わる。

春の花:丘陵の尾根道

多摩丘陵の尾根伝い。雑木林の中に広い遊歩道が続いており、頭上には大木が張り出して明るい日陰になっている。今回注目は路面と林縁の植物である。

 

ヘビイチゴ(画像上)

遊歩道の路面の草原で至る所に見られる小さな黄色い花。ハート形の花びらと小葉3枚の複葉であることからヘビイチゴの仲間である。まだ赤いイチゴは見られない。場所によって花の直下の葉(苞葉)が大きめのものや、両脇の葉が深く切れ込んで5枚の小葉を持つように見えるものがある。見かけは似ているが、ヤブヘビイチゴオヘビイチゴかもしれない。一応ヘビイチゴとした。

 

ハナイバナ(画像下)

アカバナ科。茎の先端まで葉があり小さな薄青い花がチョコンと乗っている。その様子から「葉内花」というのが名前の由来。直径2㎜ぐらいで同じ科のキュウリグサより小さいかもしれない。違いはキュウリグサの場合花の中の構造(副花冠)が黄色であること。

 

ヤブタビラコ

小さなタンポポのような黄色い花。より小柄なコオニタビラコとそっくりであるが、春先の今では草丈からは判断できない。ほぼ一重咲きのコオニに対して花が覆輪であることと、花後のガクの形、葉に赤紫がかかることからヤブタビラコとした。

 

マルバアオダモ

林縁の木の花。モクレン科。野球のバットに使われるアオダモの類縁。花とは葉は同じ科で街路樹などに多いシマトネリコによく似ている。

 

ミズキ

新芽であってもクッキリした葉脈という特徴が表れている。開花は陽春GWごろ。

 

キイチゴの仲間

今花盛り。上からクサイチゴ、モミジイチゴ、ニガイチゴ、カジイチゴ。日当たりの良い雑木林の林縁に多い。

春の花:谷戸の植物

多摩丘陵には多くの谷があり地元では谷戸(やと)と呼んでいる。奥の方にはよく泉が湧きだして小川が流れている。かつては水田として利用されていたようで細長い野原のようになっていることがある。谷戸の両側は急斜面で背の高い雑木林が張り出しており、葉が落ちている間は明るいが繁ってくると暗くなる。湿度が高く日照が少ない独特の環境である。

 

(画像上)ここは春の一時期、ヤマザクラの大木が多数花盛りになる。また地面は枯れ葉や枯草の間に薄紫色のカキドオシ(シソ科)とタチツボスミレが一面に咲いて、お花畑のようになる。ただし、地味な色なので遠目には枯れ葉の色に紛れてしまう。

 

林縁の花も地味で、下の画像で上からウグイスカグラ(少し実に変わっている)、アオキ、カエデ、カンスゲといったところ。よく探すと先日の希少種ホシザクラも見つかる。他の植物は芽吹いていないか新芽がようやく伸びだしたところだ。