植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

イネ科の雑草

今の時期道路沿いやちょっとした空き地はイネ科の雑草が旺盛に繁茂し、花盛りである。ただし花は花びらのない緑色の地味なものだ。何種類かあるようだが、漫然と見ていても区別がつかない。葉は細長く平行の葉脈で、はっきり言って皆同じだ。しかしいまだに区別ができないのも残念だ。というわけで代表的なものを調べてみた。

 

イヌムギ(犬麦、画像上)

近場では一番多いかもしれない。草丈は70-80㎝で穂の先が垂れる。南米原産で明治の初め頃牧草として渡来。その後野生化して、現在は道端などにごく普通に見られる。

 

特徴は花穂が5.6個の大きな楕円形の小穂(しょうすい)からなっていること。小穂は先がとがり、長さ2-3㎝。鱗片が重なっているように見える。鱗片の1個ずつが小花である。開花すると隙間から黄色い雄シベを出す。

 

カラスムギ(烏麦)

これも多い。イヌムギとほぼ同じ大きさで、混じって生えていることもある。ヨーロッパ~西アジア原産で古い(史前)帰化植物。役に立たないという意味でカラスという名前がついているが、これから育成された栽培種のマカラスムギ(オートムギ)はオートミールなど食用にされる。

 

小穂は2㎝ぐらいで、2個の大きな鞘(苞穎、ほうえい)が下向きにつく。これが3個の小花を包み、そのうち2個の先端から長いトゲ(芒、のぎ)が伸びる。

 

ネズミムギ(鼠麦)

ヨーロッパ原産の牧草。道端でよく見かける。穂の長さは15-30㎝で、多数の小穂が付く。苞穎は一つで短いノギがある。繁殖力が強く、花粉症の原因にもなるので、要注意外来生物に指定されている。

 

カモジグサ

北海道から沖縄まで分布。道端に普通に生えている。草丈は80㎝ぐらい。大きめの小穂を付けた花穂がアーチ状に垂れる。小穂には紫色の長いノギがある。カモジとは付け毛の古語で、昔人形のカモジを編んで遊んだからだそうである。

カルガモの子供たち

いつもの街中の川。ゴールデンウイーク後に川沿いの道を歩いた。コガモ(小鴨)たちは既に旅立っており、一羽も見当たらない。急に寂しくなった。渡りをしないカルガモは相変わらずのんびり泳いだり日向ぼっこしたり。

 

それをなんとなく見ながら進んでいくと、対岸にちょっと様子が違うものが一羽いる。護岸が少し引っ込んだところに砂が溜まって植物が生えており、それに紛れるようにしている。しかもその足元には何か小さなものが動いている。えっ、これはひょっとして!

 

下流の橋を渡って近づき、上からのぞき込むとやはりそうだ。カルガモの親鳥と子供たちだ。分かりにくい画像で申し訳ないが、8羽ぐらいいる。下の動画はその時の様子である。母鳥が羽づくろいをすると、子ガモたちが一斉に同じように動く。何とも微笑ましい光景だ。

 

巣のような構造物がないので、人目を避けて一時退避していたようだ。そういえば彼らがいる位置は通行人の多い両岸から死角になっており、羽の色や模様は、植物や土に紛れて上空からの脅威からも見つかりにくくなっている。少し離れると注意しないともうわからない。無事に育ってほしいと思う。

 

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ノイバラ満開

街では色とりどりの豪華なバラが見ごろになっている。一方近郊の野山でも野バラが満開である。今の時期咲いているのはノイバラという種類だ。小さな白い花をたくさんつけるのだが、園芸種に比べるといかにも地味だ。ただ香りは強い方で、「風薫る5月」の一端はこの花が担っていると思う。

 

山野以外に野バラが多いのは大きな川の周辺だ。下の画像は相模川河川敷のノイバラである。山から種が流水で運ばれて根付いたのであろう。点々と大きな株がある。相当な数だ。そのため河原全体がバラの香りに包まれている。

代表的な日本の野バラで全国に分布する。半つる性の低木。初めは上に伸びアーチ状に垂れ下がる。高さは1.5-2mぐらい。円錐形の花序が立ち上がり、径2㎝ぐらいの花を多数つける。花は基本的に白色だが時々ピンク色がかかったものがある。

葉は奇数複葉で小葉が9枚のものが基本。一番根元の2枚が小さかったり、無かったりするものがある。先端の1枚が他の葉より小さいか同じぐらいの大きさである。また、複葉の根元を覆うように付いている葉のようなもの(托葉、たくよう)が、細く千切れたように広がっているのも見分けるポイントだ。トゲも先がかぎ状に曲がっている。

 

シラユキゲシ

住宅地の中、昔ながらの谷戸と雑木林を残した公園。薄暗い中を歩いていると白い花が目を引いた。高い木々の下のたまに木漏れ日が差すような地面に群落を作っている。草丈は30㎝くらい。花は径2-3㎝の4弁で中央のオレンジ色の雄シベが目立つ。葉はフキのような形で根元から出て丸く、大ぶりな鋸歯がある。

 

ケシ科の一年草。中国東南部の高原地帯原産。鑑賞用に渡来したものが逃げ出して帰化している。半日陰でも旺盛に育つため、近場に安住の地を見つけたようである。

 

シラユキ(白雪)というきれいな名前はやや似つかわしくない印象だ。原産地の高原地帯の雪を頂いた山々のイメージからきているのかもしれない。ただしケシ科の例にもれずアルカロイドを含み有毒とのこと。

白いユウゲショウ

ユウゲショウの濃いピンクの花を街中の至る所で見かけるようになった。初夏から夏中咲き続ける。黄色い花のブタナなどと混在していると色の取り合わせがよく、上品で美しい。そのため家の前などに生えていると、雑草として抜いてしまうのは惜しいような気がする。

 

気を付けて歩いていると、たまに白花のものがある。そんなに珍しいものではないようだ。どの植物にも白花種があり、独立した別種になっているものも多い。ユウゲショウの場合は別種とまではいかないようだ。薄手の白磁のような透明感がある花だ。画像左側の通常の赤花と比べると、茎やつぼみの赤みがないので赤い色素を持たない変異種であろう。

 

今の時期、無数に咲いている雑草の花の中から、突然変異的に生じたものを探すのも面白いかもしれない。以前ウグイスカグラの小さな花を見て回ったことがあったが、意外に花色の変異が多く楽しめた。ただし出会う確率は数十本に一本である。

ヤセウツボ

郊外の住宅地にある遊歩道。花壇からなにか茶色いものが突き出している。よく見ると地面からいきなり花穂だけが伸びている。花は筒状で黄色に紫色の模様が入り、花穂の軸は赤茶色である。

 

図鑑等で知ってはいたが、見るのは初めてだ。葉緑素を持たない寄生植物。地中に塊根がありそこから寄生根を出して栄養を吸い取る。マメ科やキク科に寄生する。周囲にマメ科シロツメクサ(クローバー)が生えているのでこれが宿主(しゅくしゅ、寄生先)だろう。宿主より大きくなっている。ひどい奴だ。

 

地中海沿岸原産の帰化植物。クローバーが牧草として日本に導入された時付いてきたようだ。繁殖力が強くて宿主を弱らせるので要注意外来生物に指定されている。

 

ハマウツボ科。名前の由来は同属にハマウツボという植物があり、それより細い見た目から。また花の形が矢を入れる容器の靭(うつぼ)に似ているから。しかしヤセウツボという名前には禍々(まがまが)しい響きがある。少し異様な外見もあって、海のギャングウツボを連想してしまうからかもしれない。

ヒゴクサ

雑木林の中の道沿いに生えていたもの。半日陰の場所で、日向では見かけない植物である。草丈は30㎝ぐらい。花穂の先端に棒状の雄花があり、その下に2、3個の丸い雌花が付いている。一見してカンスゲの仲間と分かる。

 

カヤツリグサ科スゲ属の多年草。全国に分布。スゲの仲間は葉が濃い緑色のものが多くて地味だ。どちらかというと暗いイメージだが、これは全体が明るい緑色である。雌花は雌シベの先端(柱頭)が3つに分かれて長く伸び白い綿毛のように周囲を覆っている。雄花から出ているものは雄シベの葯(やく、花粉嚢)である。

 

「肥後草」の字が当てられるが名前の由来は不明。一説には棒状の雄花の形から竹ヒゴの「籤(ひご)草」であるという。花は白い糸が絡まった球のような奇妙な外観だが、ある種の美しさがあるように思う。