ユウゲショウ

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 「夕化粧」とはなんとも艶(つや)っぽい名前だ。アカバナ科ツキミソウの仲間だが、昼間に堂々と咲いている。なお、和風の姿と名前にもかかわらず南米からの帰化植物とのこと。

 今年はこの花を見ることが多いような気がする。近場では、空き地や新築の家の庭(家主がわざと残したのか)などによく生えている。最近住宅建設が上向いているようで、一時的に更地が増えたからかもしれない。

 濃いピンクの花は、白いニワゼキショウや黄色いブタナなどのかわいい花とよく混在している。不思議に固まって生えず、一定の間隔で広がっている。まだ夏草が伸びてきていないので、やや地味ではあるが殺風景な空き地がファンタジックな印象になる。

 画像は郊外の資材置き場の空き地一面に広がっていたものだ。隣にあるのは資材?の岩である。垢ぬけのしない画像であるが、まあそれが園芸品種と違う、「野の花」らしさというものだろう。

ウノハナ:夏は来ぬ

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 今の季節、野山の新緑を見ていると、「卯の花の匂う垣根に…夏は来ぬ(なつはきぬ)」という歌を思い出す。

 旧暦4月(卯月、うづき)に咲くからウノハナである。5月の山道の林縁はごく小さな白い花をたくさんつけた木であふれる。これが何種類もある。ノイバラのように知っているものもあるが、皆ジミで似ていて判別できない。そこでいくつか接写してネットで調べてみた。

 結局、一番多かったのが画像のウツギだった。これがいわゆるウノハナである。2,3メートルほどの高さの低木で、垣根にも使われている。字は空木と書く。枝が中空になっているためだそうである。まだ咲き初めだが、新緑の葉と相まって清澄な印象を与える花である。

 ところで、顔をつけて嗅いでみてもこの花は匂いが無い。歌と違うと思い調べてみると、古文の「匂う」は「美しく映える」という意味で、匂いがするわけではないそうである。

 今の季節は「風薫る」と言われるぐらい、野山は様々な花木の香りに満たされる。私はその香りをウノハナのものと誤解していたようである。

相模湖層群の角礫岩

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 近場で最も古い地層といえば、中生代白亜紀後半(1億年~6千5百万年前)の小仏(こぼとけ)層群である。以前、そこに含まれる岩石として、強い力を受けた硬い砂岩について紹介した。今回はその次に古いものをあげてみた。

 新生代第三紀に堆積した「相模湖(さがみこ)層群」(3千5百万年~1千6百万年前)である。相模湖から津久井湖周辺に分布している。これは小仏層群の南側に接しているが、不連続(不整合)である。日本全体としては、両者合わせて「四万十(しまんと)層群」と呼ばれる広範囲の地質構造に属している。

 

 画像に相模湖層群の礫岩(れきがん)を示した。神奈川県相模原市相模川の支流の河原に多数転がっていたものだ。一見すると変哲もないコンクリートの塊のように見える。しかし、拡大してみると大小の礫の間を砂岩が埋めており、セメントは含まれていない。

 この礫岩の特徴は、礫(径2ミリメートル以上)が全て角張っているため「角礫岩」というべきものであることである。川を流れたりすると多少なりとも丸くなると思うが…。また、真っ黒な角礫が目立つが、これは「頁岩(けつがん)」という泥が固まった岩石だ。この石は大変もろくすぐ粉々になる。そのような石が含まれているのも不思議である。さらに、普通なら重い順に層状に沈むはずであるのに、かきまぜられたような形で残っているのは、砕けた直後にそのまま固まったためのようだ。

 

 調べてみると、この岩石の成因は「海底地滑り」だそうである。つまり、大陸棚で堆積して固まった泥(頁岩)が地滑りによりガサっと削られ、乱泥流として深海に一気に運ばれて堆積したものと考えられている。

 この地滑りは繰り返し起こっており、大きなものは幅数キロメートルにわたっていた。そのため、巨大な岩が転がり込んだ跡が地層の中に観察されるとのことである。それを引き起こしたであろう巨大地震も合わせて考えると、なんとも凄まじい現象である。

ヤブヘビイチゴ

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 ヘビイチゴの仲間で、やはり小さな赤い「イチゴ」ができる。ただし、蛇のイチゴだから食べようとする人はいないだろう。黄色い花が鮮烈であるが、普通のイチゴは花が白い。右下に延びる赤黒い線はツルだ。

 ちょっと見にくいが、五弁の花のガクの下に、さらに取り巻くように大きな副ガク片が付くのが特徴。二重のガクは黄色い花を引き立てる。なんとなく織田信長の「五弁木瓜(ごべんもっこう)」の紋所を思わせる。

 花の中央部の丸い部分(花托、かたく)が膨らんで赤くなりイチゴの実になる。黄色い粒に見える部分が本来の花である。これがやがて実の表面の種になる。実は毒ではないが、味もないとのこと。

 名前は、薮に生えているヘビイチゴの意味だ。林の中の薄暗くてジメジメしたヘビが出そうな場所に生えているので、うかつに赤い実に手を出すとやられる。これが「ヤブヘビ」の語源、というのはウソ。

 

キツネノボタン

 

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 ボタン(牡丹)は華麗な花だが、名前にキツネ(狐)ノが付くと、イヌなんとかと同じで、役に立たない始末に困る雑草ということになる。別名は実の形からコンペイトウグサ。

 水路の脇や湿地のような所に群生していて、今花盛りである。

  キンポウゲ(ウマノアシガタ)の仲間で、花はそっくりだがずっと小さく見劣りがする。そのためかあまり注目されない。花に見えるのはガク片で、セロファンのような独特のツヤと質感がある。拡大すると緑の葉が意外にフレッシュな感じで、鑑賞に堪えると思う。

  サラダにしたらおいしそうだが、この仲間の例にもれず有毒だそうである。

 

シロバナマンテマ

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 街のアスファルトの隙間に見たことのない花が咲いていた。接写すると花とつぼみの赤紫がかわいい。ただし草丈はせいぜい10㎝で花も小さく目立たない。花の中心に白いフリルのようなものがついているのが特徴的だ。

 調べてみると、ナデシコ科のシロバナマンテマというものらしい。赤い花で花びらのヘリが白いマンテマという種類があるので、ピンク色もシロバナに含まれるとのこと。

 幕末に欧州から入って来た帰化種。結構毛深いのはそのせいか(偏見)。いかにも外来語みたいが、「まんてま」は和名である。由来はよく分からないとのこと。ちょっと沖縄か九州の響きがある。

 英名はsmall-flowered catchfly、小花ハエトリソウか。粘液が出て虫がくっつくそうだが、なんとも即物的だ。やはり「まんてま」のほうが南蛮渡来ぽくていいと思う。

ササの花

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  画像はたまたま目にとまったササの花である。場所は近所の住宅地の一角で、後ろは民家の塀だ。

 最初は草むらの中で何か小さな白いものが風に揺れているのが見えた。何かなと思ってじっくり見ると、ササの根本から麦の穂のようなものが伸びており、そこから出ている雄シベであることが分かった。枝の先端から穂が出ているものもあった。全体が地味なので、気を付けていないと通り過ぎてしまうだろう。

 子供の頃、笹は100年に一度一斉に花が咲き、全部枯れてしまう、その年は凶作になる、と聞いた。ササの実を野ネズミが食べて大繁殖し、イネを食い荒らすためだという。

 調べてみると結構珍しい現象で、新聞種になることもあるようである。しかし、ネットでは「咲いた」という話が過去から相当数あり、単なる自然の摂理であろう。不吉に思う必要は無いと思う。

 ササの種類は分からない。近場の至る所に生えているヤツだ。里山も放っておくと、雑木林の地面が全部殺風景なササヤブになってしまう。しかし、そのササヤブが連動して花が咲くかどうか、ちょっと興味がある。