多摩丘陵は多摩川と相模川にはさまれている。どちらも大きな川だが、日本でもほぼその河原にしか見られないという植物がある。カワラノギク(河原野菊)である。と言っても絶滅もしくは絶滅寸前だ。玉石がゴロゴロしているような氾濫原が生育環境なのだが、今は水利開発でほとんど失われているためである。環境の悪化や外来種の侵入などもあるかもしれない。
相模川で公園内に保護されていると聞いて見に行った。大きめの石からなる河原の一部に自然のままの林があり、小道を抜けていくと空き地があってこの花が満開であった。地面の石が分かると思う。こんなところにと驚きである。
草丈は50㎝~1mで、花は径4㎝ぐらいあり、思ったより大きい。色は薄紫でほとんど白色のものもある。資料では花びらはきちっとした菊の形をしているが、この場所のものは少しヨレている。それも野趣があってなかなか良い。夢中になって写真を撮った。
かつては河原全体に群生が見られたという。しかし日照こそ豊富でも、暑さ寒さは強烈で、一旦増水すると流されてしまう独特の生態系である。一度壊れると再生は大変だ。数か所で保護育成が試みられているそうだが難しいらしい。近場の住民(東京神奈川だが)にとってはオンリーワンの存在である。大切にしなければ。