カワラノギクの近くに植えてあったもの。草丈は30㎝ぐらい。花の直径は4㎝ほどで、これも思っていたより大きい。秋が深まって淋しくなった河原で存在感を示していた。以前から探していたのだが、ついに自生のものには出会えなかった。
パールピンクの花びらの先が糸のように裂け、絶妙にウエーブがかかっている。突き出した雌シベ(花柱)は先端が2本に分かれ音符のような面白い形をしている。花びらの基部に短い毛がある。おかしな言い方になるが作り物めいている。花期は7~10月。何とか間に合ったようだ。
ナデシコ科の多年草。秋の七草の「なでしこ」とはこの種を指す。日本の本州以南の山地や河原に広く分布する。「撫子」と書き、可憐な花を意味する。ヤマトナデシコ(大和撫子)というとお淑(しと)やかなイメージがあるが、この花はまさにナデシコジャパンだ。凛(りん)として強い。日本を代表する花の一つである。
「カワラ」という名がつくだけに日照を好む。そのため周辺の環境に背の高い他の草が生えてくると生育が難しくなる。今は河原にも背の高い外来種が増えてきているので、棲みにくくなっているのだろう。栽培種はあるが、自生のものは絶滅危惧とまではいかなくても減ってきているのは確かだ。