植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

アマドコロの花

茎に沿って長さ2㎝ぐらいのカワイイ花がずらりと並ぶ。昨日の雨で水滴がいっぱい残り、緑のグラデーションのフレッシュな感じを引き立てている。 花や葉は先に紹介したイヌサフラン科のホウチャクソウそっくりだ。しかし、花ビラが固着して筒状であることと…

ヘラオオバコ

オオバコより全体に大きく、花穂の高さは40~50㎝もある。何本もシュッと伸びた先に小さい円錐型の花穂を付ける。花穂は下から咲き上がる。雄シベが白く取り巻いて持ち上がっていく感じ。向きは逆だが、棒型の花火が火花を出して燃えていく様に似ている。ま…

エノキの虫こぶ

生け垣に混じって生えていた小さなエノキ(榎)の木に、径5㎜ぐらいの若い緑の実が付いている。夏から秋にかけてオレンジ色に変わる。おや?変な実があるぞ。葉の根元の枝ではなく、葉に直接付いている。付く向きもバラバラだ。形も先が尖ったネギ坊主型で縦…

セントウソウ

低山や丘陵地の林縁などで、春先に草叢を作っている植物だ。草丈は30㎝ぐらいで、薄く細かく切れ込んだ葉や小さな花はいかにも繊細だ。花は径1㎜ぐらいで、拡大して、辛うじて5枚の白い花弁が少し赤く色づいているのが分かる。 セリ科の日本固有種。セントウ…

紅色ハルジオン

雑木林が新しく切り開かれたところに白いハルジオンが群れていた。その中で1本だけ紅色に染まったものがあった。中央の黄色との対照が鮮やかで、まるで別種の植物のようである。周囲のものもよく見ると微妙にピンクに色づいているが、こんなに濃い色のものは…

オニタビラコ

今の時期、街中から田舎まで至る所で大量に見かける。地面の放射状の葉から不釣り合いに長い花穂を一斉に伸ばして、集合花を付けている。中には高さ1メートル近いものまである。林縁など半日陰に多いように思う。 日本全土に分布するキク科植物で、花の直径…

ムサシアブミの花

これもサトイモ科テンナンショウ属の仲間。林の中の沢沿いなど湿ったところに、大型の葉を広げて群れていた。葉は2本出て、太い葉柄に3枚の小葉が付く。小葉の縦幅は30㎝ほどある。この大きな葉に隠れるように花穂をもたげている。 下に示したように、花の特…

ジロボウエンゴサク

細い茎に花が乗っかってバランスをとっているように見える。以前紹介したムラサキケマンの仲間。花の形がそっくりだ。先端が唇のような形で、反対側が長く伸びて蜜のたまる距(きょ)になっている。花房(はなぶさ)にならず、2輪ずつ咲くようだ。葉は小さく…

ウラシマソウ(浦島草)

サトイモ科テンナンショウ属の多年草。この仲間は春山のハイキングではよく見かける。いずれも奇妙な花を付ける。蛇が鎌首をもたげたような花で、いきなり見ると驚かされる。さらに蛇の舌のようなものが出ていて、ムチのように長く伸びていることに二度驚く…

アメリカスミレサイシン

名前から明らかなように外来種。北米原産で明治期に園芸用に移入されその後野生化した。そういわれると、花も葉も大ぶりで色合いも華やかだが、造形が雑で色に深みがない。在来種のような慎ましやかな可愛らしさがない…。どうも外来種には点が辛くなる。 実…

ミヤマキンポウゲ

深山金鳳花。本来高原などで見られる植物であるが、出会ったのは高尾山に連なる低山の谷間の道である。一応東京都の範囲だ。昼なお暗い所で、時たま射す木漏れ陽を浴びて輝いていた。 普通のキンポウゲは正式にはウマノアシガタと言い、日当たりのよい水田な…

シラユキスミレ

先日ツボスミレという白いスミレを紹介した。白いと言っても、下向きの花びら(唇弁という)には紫色のスジが入っていた。他の白いスミレであるアケボノスミレやヒカゲスミレもそうである。 ところがこれは唇弁にスジがなく、全体が真っ白である。ツボスミレ…

コケリンドウ2021

名前は苔(こけ)のように小さいリンドウの意味だ。もちろん絶滅危惧種でそう簡単には出会えない。 普通のリンドウと比較すると信じられないぐらい小さい。花の直径は1㎝、草丈は2.5㎝ぐらいしかない。薄青い花色から、遠目にはスミレかオオイヌノフグリにし…

ヤエムグラ

「むぐら」とは密生して藪を作る草のこと。この植物はアカネ科で、街中でもちょっとした空き地でよく見る雑草だ。断面が四角い茎を取り囲むように6~8枚ぐらいの葉が付いて段々になっている。 茎や葉には下向きに細かいトゲがついていて、他のものにひっか…

ホウチャクソウ

新緑の季節。丘陵を歩いていると雑木林の下草としてよく出会う。爽やかな風を受けてこの花が揺れると、かすかにシャランと音が聞こえるような気がする。 名前の由来は、寺院建築の屋根の四隅に下がった飾り、宝鐸(ほうたく)である。風鐸ともいう。金属製の…

鎌倉古道とツボスミレ

都心からほど近いハイキングスポットとしては高尾山が有名だが、その近くに位置する多摩丘陵は意外と知られていない。実は手ごろなハイキングコースがたくさんある穴場である。一番高い所でも200mちょっとの丘陵地で、東京都の南西部の大きな面積を占める。…

キンラン2021

近所の丘陵地に毎年見に行く秘密の場所がある。秘密といっても、周辺の有志の方が手入れしている里山のようなところの片隅で、関係者はご存じのはずだ。画像はまだ開く前のツボミの状態。なんともいえぬ素朴でピュアな姿である。ただし花が咲いても開き切ら…

ハナグルマ

丘陵地の林縁で、新緑の中で目立つピンクの花を見つけた。大きさと全体の感じからモチツツジだろうと思って近づくと、様子が違う。一般のツツジと違ってラッパ状の花が根元まで5枚に裂けている。 調べると、モチツツジの変種でハナグルマという種類であった…

キランソウ

これがキランソウ。前回話題に出たがまだ紹介していなかったことに気づき、急遽撮ってきた画像だ。花期は3-5月で、小さいながら鮮やかな紫色は強烈な印象を残す。色は違うが花の形や葉の感じがジュウニヒトエとよく似ている。 日本在来種で、シソ科の多年草…

ジュウニヒトエ

この花もヒメハギと同じ頃に見られる里山の春の先駆けだ。少し木陰になるような場所に多い。シソ科の特徴がある5~10㎜の花が10段ほど縦に並んで、10~20㎝の花穂を形成している。 花が積み重なっている様子を、平安時代の宮廷女官の重ね着であるジュウニヒ…

ヤマツツジ

街ではもうツツジが満開である。植え込みや庭で見かけるのは、最近はオオシマツツジやミツバツツジが多い。一方画像のヤマツツジは日本の野生ツツジの代表で、近場では丘陵地の林縁などで見ることが多い。 朱色に近い花が黄緑色の新しい葉に映えて美しい。こ…

ヒメハギの花

多摩丘陵の一角の日当たりのよい草地。入り込んだ潅木やネザサなどが刈られて手入れされ、かつての里山が再現されている。まだ枯れた草が多いが、そろそろ里山特有の草花が顔を出している。この植物は背が低く小型ながら、独特の形をした赤紫の花が目を引く…

マツバウンラン

近所の住宅の庭先。レンガの敷石の間から30-40㎝のヒョロっと細長い花茎を伸ばし、花を付けていた。他の場所で見たものも同じような環境だった。 石垣や敷石の隙間などは寒暑の差が激しく、過酷な環境と思われるが、そういうところを好む植物である。自然状…

ノジシャの花

薄青いかわいい花が奇妙な形の葉に包まれている。個々の花は径2、3㎜で非常に小さい。それが5個ほど集まったものが湾曲した楕円形の苞葉(ほうよう、小花を包むガクのような役割)に包まれ、さらにそれが数個集まって花序を作っている。白く見えるが、拡大す…

ヤマルリソウ

新緑の多摩丘陵を歩いていて林縁の斜面で見つけた。薄暗く少し湿ったような場所である。初めはタチツボスミレかと思ったが、よく見ると違った。 これまた小さい花だ。拡大するとどこかで見たような色と形。そうムラサキ科(ワスレナグサの仲間)の特徴がある…

カキドオシ

名前は、垣根を突き通るほど勢いよく伸びてくる様子に由来するとのこと。だが今の時期は10㎝ぐらいの背丈でかわいい感じ。径2㎝ぐらいの花が大きく見える。田植え前の田んぼや畦など粘土質で湿った場所を好むようだ。 対生する葉の根元に一輪ずつ花を付ける…

イロハモミジの花

ムクロジ科カエデ属で、日本ではもっとも普通の種である。秋の紅葉も良いが新緑の今頃もなかなかである。大きな日本庭園に行くと、新葉が赤かったり、形が変わっていたりと様々な園芸種がある。細かく見ていくと飽きない。 ちょっと変わった名前は、切れ込ん…

ツルニチニチソウ

冬にも枯れず、花を付けているのを見ることがあり、一年中どこかで咲いている花である。本来の花期は春から初夏で、今頃は住宅地の庭先など至る所で見かける。逸出して野生化したものも多い。 花が径5㎝ほどもある大型で、青紫のパステルカラーも目を引く。…

ナノハナとスタジアム

与謝蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」の句は、春の夕暮れ時の菜の花畑を詠んだものとされている。しかし、昼と夜だけでなく過去から未来への時間の流れや、宇宙的な空間の広がりまで感じられる。好きな句である。 彼の時代(江戸中期)、庶民にも安価な菜…

林の中のヤマブキ

多摩丘陵の明るい雑木林の中を歩いていて、突然群生しているヤマブキに出会った。その花色の鮮やかさに見とれてしまった。少し暗い林の中で光を発しているようだった。街中で庭先に植えられているものを見ることも多いが、一株ずつでは少し寂しげである。 い…