真夏の今ごろ咲くユリである。近場の多摩丘陵でも見られるそうなのだが、どういうわけか今まで自然のものに出会ったことがなかった。今日、少し離れるが高尾山(東京都)に行ったところ普通に見られたので驚いた。前回のタマアジサイもそこら中で群れ咲いている。あるところにはあるものだ。
生えている谷川沿いの探索路は鬱蒼とした木々の下でひんやりしている。早朝では歩いても汗をかかない。炎暑の都市部とは別世界だ。
この花は緑がかかって地味なイメージだが、花びらのシャープな曲線が独特の存在感をかもしだしている。ユリ科。他の仲間と異なり葉脈が平行ではなく網状で、葉も広がっているところが変わっている。
花が咲くころ葉が枯れて無くなることから、「歯が無い」の掛け言葉で「姥(うば)」の名が付いたという。確かに花に対して汚れた枯れ葉が目立ち、まともなものが一つもない。葉がそれほど無くなっていないのはここのところの晴天続きのせいか。風や雨で枯れた葉が落ちるとスッキリするかもしれない。