植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ニョイスミレとシラユキスミレ

ニョイスミレは近場では一番遅く咲くスミレだ。丘陵地や山地の沢沿いなどやや湿ったところの明るい木陰に群生していることがある。他の草の中から長い花茎を伸ばし小さな花をつける。花色は白く、唇弁(しんべん、下向きの花びら)に紫色のスジの模様が入っている。楚々とした印象である。

 

その中に希に真っ白な花をつける亜種がみられ、その色からシラユキ(白雪)という名前が付いている(画像下)。以前一度見つけて紹介した。今回は少し離れた別の場所で見つけた。よく気を付けて探さないと分からない。

花びらの紫色のスジは蜜標というものである。英語でネクター・ガイドとかガイド・マークと呼ばれる。スミレの場合、花の中に蜜を出す腺があり、ガクの後方に突き出た距(きょ)という袋の中に蜜がたまる。その蜜の在り処へと虫を導くものだ。もちろんその途中に雄シベと雌シベがあって出入りする結果授粉することになる。

 

蜜標がないのは受粉のために不利ではないかと思うが、消えてなくならないところを見ると何か別のカラクリがあるに違いない。ただ、花を鑑賞するうえで物足りない感じがするのは私だけだろうか。