植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

野の花

カスミザクラ

高尾山を登っていくと中腹あたりに満開の桜の木があった。今頃?花色は白で、わずかに紅色を帯び、春の日差しに輝いている。山の上でもほぼ終わっているヤマザクラとは違うようである。 カスミザクラだと教えてもらった。なるほどそれで納得だ。一番遅く、深…

高尾山で出会ったスミレたち

よく晴れた日曜日、高尾山(東京都八王子市、高さ600m)のフットパスに参加した。目当ては今盛りの色々なスミレ。先導するのはスミレ博士といわれる先生である。(カッコ内は漢字名と代表的な花色) タカオスミレ(画像上、高尾菫、白に紫の筋) 高尾山の名…

4月初旬の野の花

ここ1,2週間、多摩丘陵のあちこちで見つけた花の画像集。 イチリンソウ(上)は神社の林縁で毎年花をつけている。今年は花が多いようだ。本当に1輪ずつ咲く。すぐ近くにニリンソウの葉が見えたが花はまだだった。画像下は1週間後のもの。こう見ると似て…

クサイチゴの花

いよいよ4月。多摩丘陵は様々な花が咲き次々と入れ替わる。草刈りがされた里山の斜面に白いものが見えたので近づくと、一叢(むら)のクサイチゴの花だった。今年もこの花が咲く季節になったなあと思う。 背丈が20㎝ぐらいしかなく小さいのでクサ(草)と…

ヤマルリソウ2023

一昨年多摩丘陵を歩いているとき偶然出会った花だ。昨年同じ場所に行ってみたが時期が遅かったためか見つからなかった。今年こそはと探し回ったが見当たらず、あきらめて帰ろうとしたとき目に入った。幻のような花である。 ルリ(瑠璃)という名の通り鮮やか…

マルバスミレ2023

多摩丘陵に多い白いスミレだ。今至るところでタチツボスミレの花盛りだが、たまにこのスミレが混じっていたりする。雑木林の林縁など明るい日陰のような場所を好むようだ。 花は少しヨレた感じで先日のヒゴスミレほど整っていない。花色は白色~ピンク色とさ…

ムサシアブミの芽

雑木林の下の地面から不思議なものが伸びだしていた。異様な形といい肌色に近い色合いといい不気味なものを感じる。よく見るとまだらの模様や斑点があり、蛇か毒キノコを思わせる。 近くに更に成長したものがあり、すぐムサシアブミ(武蔵鐙)の芽生えと分か…

ヒゴスミレ

公園の中の小さな植物園で見かけたもの。白いスミレ自体はそんなに珍しいものではないが、葉が普通でない。葉柄の先が5つに分かれ、さら細かく切れ込んで細くなっている。 花は直径2㎝ぐらいで、5枚の花弁のうち、下向きの唇弁に紫のスジが入り、横向きの…

ハマダイコン

三浦半島の荒崎(あらさき)近くの海岸。訪れたのは10日前でまだ風は肌寒く、海辺の植物はほとんど枯れていて、咲いているのはこの花だけだった。いたるところで見られる。花期は3月~5月。名前の通り葉も花も野菜のダイコン(花期は4、5月)によく似てい…

ロウバイ2023

もう大寒。一年で最も寒い時期に咲く花だ。ロウ細工のような半透明の黄色い花が満開である。寒さの中で甘い香りを放っている。黄葉した葉が残っていて、鑑賞という点からはちょっと残念。寒さが厳しい年は12月中に葉がほとんど落ちてしまい、花だけのスッキ…

ハマヒサカキの花

里山の環境を残した公園を歩いていて見つけた花。今の時期サザンカなどを除いて咲いているものは珍しい。雑木林の林縁で大きな木の陰になっており、直径4㎜ぐらいと小さい。今の時期でなければ見逃してしまうだろう。 ツヤのある深緑の葉には鋸歯があり、一…

多摩丘陵のリュウノウギク

先日リュウノウギクについて自然のものを見たことがないなどと書いた。ところが数日前多摩丘陵を歩いていると、雑木林の中の道路沿いに次々とノギクが現れた。日当たりのよい小さな崖のようになっている場所だ。これが植物園で見たものと特徴がそっくりなの…

ナンテンハギの花

丘陵地の畑の周辺を歩いていると林縁の繁みの一部が紫色に染まっていた。今頃何の花だろうと思って見に行くとナンテンハギが大きな群落を作っていた。こういうものを見つけると嬉しくなる。 マメ科ソラマメ属の多年草。複葉はナンテンに似た小葉が2枚で、別…

ヒイラギの香り

ひと月ぶりの多摩丘陵。このところ穏やかな日が続いており歩くと気持ちが良い。さすがに草木は紅葉したり枯れたりしており晩秋の風情だ。足元の草は朝露がびっしり覆っていたが日が高くなると消えた。風が吹くと木からザーッという感じで枯葉が舞い落ち、弱…

キチジョウソウ(吉祥草)

これも植物園にあった植物。一緒に歩いていた人から「めったに花が咲かず、良いことがあると咲く」から吉祥草、と教わった。探すとけっこう咲いていたのできっと近くにハッピーな人が多いのだろう。 キジカクシ科スズラン亜科の多年草。関東地方以西から九州…

リンドウの花

キクとともに秋に欠かせないのがリンドウである。似た色のキキョウよりも青色が強い花色である。花期は9-11月で、茎の先端や上部の葉のわきに太いツボミを出す。花は晴天の時開き、日が翳ったり夕刻になったりするとしぼむ。 中国名の竜(龍)胆(りゅうたん…

リュウノウギク

ノギクばかりが続いて恐縮だが、今の時期は他の花が少ないので仕方がない。今回はリュウノウギクだ。近場の野山では一番花が遅い種類である。花に対して葉や茎が小さく華奢だがどっさりと咲く。白花で地味。しかし今頃は葉が紅く色づき独特の風情(ふぜい)…

シマカンギク

これも薬用植物園にあったノギクの一種。近畿地方以西の海岸や日当たりのよい山地に自生する。台湾、中国南部にも分布する南方系の植物である。海岸などに生え初冬まで咲き続けるため、島寒菊というのが名前の由来らしい。 現在の栽培種のキクの原種の一つと…

ヤマジノギク

これも植物園の入り口付近のポットにあったもの。野生のヤマジノギクを大分県で50年以上前から品種改良を繰り返したとのこと。大型で紫色と黄色の花色はキクの仲間としてはユニークで鮮烈な印象を受ける。 聞いたことのない名前だと思ったら、生育北限は東海…

コウヤボウキ(高野箒)

自宅から歩いて5,6分の住宅地にある公園。全体にコナラを主とする雑木林で薄暗い中に小径が通じている。足元にはササが多く、さして珍しい植物はないと思っていた。今日の早朝、散歩で立ち寄ってこの花を見つけた。周囲を見回すとササに交ってあちこちに…

ヤマハッカの花

秋らしい透明感のある青紫の花だ。多摩丘陵では日当たりのよい林縁などに固まって咲いている。草丈は30~50㎝。同じ色のアキノタムラソウと似ているが、毛が少なく花の形がかなり違っている。 花の大きさは7㎜ぐらい。上向きの花びらは先端が4つに分かれ中央…

カシワバハグマ

多摩丘陵の雑木林の中にある暗い道。今の時期、日陰には花が少ないので白い花が目につく。細い花びらが反り返りねじれており、薄茶色の筒状花が10本ぐらい突き出している。なぜこんな独特の形をしているのか理由が分からない。 キク科の多年草。日本固有種。…

カワラケツメイ

河原決明。河原などに多く、黄色の花や多数の小葉からなる羽状の葉が同じマメ科のエビスグサ(実が決明子(けつめいし)という漢方薬)に似ているのが名前の由来である。この草自体も薬効が知られており、健康茶としても飲用される。 草丈は40-50㎝。マメ科…

キンエノコロ

エノコログサの仲間の一年草。名前は穂に黄緑色~茶褐色の硬い毛が多く、陽を浴びると金色に光って見えることから。穂は垂れず直立する。日当たりのよい田の畔(あぜ)や路傍などで見かける。近場ではエノコログサと比べるとマイナーな存在である。 画像は、…

ニホンハッカ

多摩丘陵の谷戸(やと、幅の広い谷地形のこと)。奥の方に小さな池があり、水が湧き出していて小川になり、下流の谷水田を潤している。水辺の草花を期待して来てみたが、いわゆる湿生植物はあまり無い。そのかわり平地では見られない昔ながらの人里の植物が…

イボクサ

谷戸の小川沿いの草むらで小さな三弁の花を見つけた。白っぽいがよく見ると先端が薄紫色である。葉の形などからツユクサの仲間であることはすぐわかる。草丈20~30㎝と小さく、ポツポツと咲く花も径1~1.2㎝とカワイイ。全体に爽やかな印象である。 ツユクサ…

ノハラアザミと蝶

2週連続の週末台風でどこへも行けなかった。やっと最終日の今日穏やかに晴れたので多摩丘陵の谷戸を歩いてみた。まだ大雨の名残で植物はグッショリと水を含んでおり道は一部川になっている。しかし谷水田は無事で黄金色の稲穂が実っている。その周辺や雑木林…

ゲンノショウコの花

里山の日当たりのよい草むらなどで見られる。草丈30㎝ぐらいの小柄な植物だが、花はほかの草が繁茂する中でもしっかり存在感がある。花の径は1~1.5㎝。5枚の花弁には薄紫の筋が入る。雄シベは10本で葯(やく、花粉の袋)の青色が美しい。赤紫の雌シベも良い…

カラムシの花

里山や古くからの民家の周辺に多く、半日陰のようなところに群落を作っている。この仲間は葉だけ見ているとそっくりである。よく見ると区別はできるのだが、はっきりしたことは花の時期を待つしかない。花といっても花びらのない薄緑色の小さなものである。 …

フジカンゾウ

少し秋めいてきて赤紫色のハギ(萩)の花を街でも見かけるようになった。近場の丘陵地を歩いていて林縁でハギに似た花を見つけた。淡いピンク色で花の大きさ(8~10mm)や形は似ているが、花の付き方が異なる。草丈は1.2mぐらい。奇数羽状複葉で小葉の数は5…