多摩丘陵の谷は、奥に水が沸いていて小川が流れ出しており、水田として利用されていることが多い。これを谷戸田という。周りの里山も含めて古くから人と自然がかかわりあいをもってきた歴史がある。このような場所は植物も独特である。
谷戸田の入り口に植えられていたもの。濃い緑の空間に派手な色彩が妙にしっくり来る。シンボル的な感じだ。この花は梅雨の始まりに咲き始め、咲き終わると真夏になる。
ナヨクサフジ(弱草藤、画像下)
農家の垣根の一角がこの花でいっぱいになっていた。ヨーロッパ原産のマメ科の帰化植物。牧草と一緒に入ってきたらしい。在来種のクサフジとは花の形などが少し違う。名前は茎が細くて嫋々(なよなよ)していることによる。何故か「弱」と書くのは字が難しいせいか。
ブルーベリー
最近この付近でもよく栽培されるようになった。実が大きくなってきたがまだあまり色づいていない。北米原産のツツジ科の果樹で、耐陰性があり林縁などでも育つので木の多い丘陵地向きである。
オカトラノオ(丘虎の尾)
丘陵地に多いサクラソウ科の花。咲き始めだ。下草が刈られた杉林で一面に咲いて同じ方向になびいているのを見たことがある。
オオバギボウシ(大葉擬宝珠)
キジカクシ科。普通のギボウシ(園芸種)は民家の庭などでよく見かける。これは自生種で、葉がずっと大きい。
チダケサシ(乳茸刺し)
ユキノシタ科。地味な赤紫の花。名前は、昔、乳茸(ちちたけ)という食用キノコをこの茎に刺したためという。
ホタルブクロ
キキョウ科。5~6月は雑木林の林縁などでよく咲いていた。まだ残っている。純白の花は珍しい。
コマツナギ(駒繋ぎ)
マメ科。夏草の中に埋もれるように咲いている。小型のクズの花といったところだが、草ではなくツル性の木だ。
アマガエル
おまけ。体長2㎝ぐらいの小さなカエル。緑色で保護色になっている。よく見ると葉の上に何匹かとまっている。目の前に小虫がいるが、カエルは動くものしか見えないと聞いたことがある。虫は動いたらパクッとやられるだろう。