植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

高尾山の植物:春

 

高尾山は標高600mである。山道を歩いているとスミレ類のほか、ヒトリシズカイカリソウ(画像上)、ヤマルリソウなど、近場の丘陵地(里山)ではほとんど見かけなくなった植物が普通に咲いていた。一方、山地でしか見られない春の花には、すでに紹介したもの以外に、次のようなものがある。

 

チャルメルソウ(画像下)

 

渓流沿いの谷道の脇に群落をつくっていた。面白い名前で以前から気になっていた。見るのは初めてだ。花の形が中国楽器のチャルメラ(チャルメルともいう)に似ているというのが名前の由来だ。目を凝らすと小さなラッパ型であることがわかる。ユキノシタ科の多年草で日本固有種。花期は4-5月。今度来たらじっくり花を観察してみたい。

 

 

ミミガタテンナンショウ

 

サトイモ科テンナンショウ属。多摩丘陵に多いマムシグサによく似ている。仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる花を包む独特の構造は、開口部が横に大きく張り出している。それが耳のようだというのが名前の由来だ。なお、テンナンショウとは漢方生薬名「天南星」がもとになっている。

 

 

ツルカノコソウ

 

スイカズラ科の多年草。渓流沿いに群生している。白い花はよく見ると紅色を帯びている。どう見てもツル性ではないので不思議に思っていた。後で調べると、根元から多数の長い走出枝を出しており、それがツルのようだかららしい。現地では葉に隠れて見えなかった。

 

 

ミヤマキケマン

 

ケシ科の越年草。今頃は里山や田畑の脇などではムラサキケマンがよく咲いている。たまにその黄花の種類であるキケマンも見かける。この植物はその山地特有の種類である。「深山(みやま)」といっても低いところまで分布している。一方キケマンは海岸の近くに多いという違いがある。よく似ているがやや小型で華奢な感じ。花のつき方もバラけた感じだ。