薄暗い雑木林の中の小道の脇で花を付けていた。出会ったのは今回が初めてである。草丈が5㎝ほどしかなく枯れたササのようにしか見えない。多摩丘陵でも見られるとの情報があるので気を付けてはいたが、こんな繊細なものとは思っていなかった。
花はガクが3枚で長さ3cmぐらい。ササの葉のように細く中央に紅紫色の線がある。花びらも3枚で短い側弁2枚と袋状の唇弁が下向きに付く。花の中心部に紅紫色の模様が入っている。画像上のものは上向きのガクが開ききっていない。3日後に見に行くともう萎れていた。
葉と根を持たない。腐葉土中に地下茎を伸ばして内部に菌類(キノコの仲間)を共生させて栄養を得ている。いわゆる腐生植物だ。7~10月の花期には5~15㎝の花茎を伸ばして先端にいくつか花を付ける。
ラン科。福島県以西、山地の雑木林などに自生する。神戸市の摩耶山で初めて発見されたのが名前の由来だ。
なんとも小さく儚(はかな)げである。森の中に妖精がいるとしたらこんな感じなのだろうか。