春の陽気の中一日郊外の丘陵地を歩いた。くねくね曲がった道沿いは畑や雑木林で、建物はほとんどない。所々で開けて雄大な眺望が得られる。長い年月にわたって里人の手が入ったいわゆる里山で、出会える植物も特有のものがある。先ず木の花から。
朝のうちはほとんど開いていなかった花が、昼頃には三分咲きぐらいになっていた。種ができず挿し木で増やされるため、生えているのは全て人の手による。丘の上は最近のものばかり。大木は里まで降りて行かないと観られない。
コブシ(辛夷、画像下)
開花はソメイヨシノより早い。よく似たハクモクレンとの違いは、花が開ききること。モクレンの花は開ききらず上を向く。
キブシ(木五倍子)
これも早春の風物詩だ。木漏れ日が美しい。里近くで観るものより花が少ないようだ。
クサイチゴ(草苺)
小柄なキイチゴの一種。樹高20㎝ぐらいでも花は立派で、ちゃんとしたラズベリー型の実を付ける。道沿いにたくさん生えているのは、食べた人間が種を振りまいたためかもしれない。
ヤマブキ(山吹)
雑木林の中、道脇の薮に点々と花がみられる。山の春の息吹が感じられる(何かで読んだ文言)。落語「道灌」で有名な花だが、あれは八重咲きで実を付けない。野生種は一重咲きで実を付ける。
クサボケ(草木瓜)
日本在来種の小柄なボケ。ハデな園芸種は中国原産である。近場では枯草の中でいち早く咲いて春を告げる花だ。