植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

多摩丘陵の植物

一番早いスミレ

気温が20度を越える日があったと思ったら、今日は最高で10度と真冬並みだ。そんな3月中旬に多摩丘陵で出会った早咲きのスミレ。アオイスミレ(葵菫)だ。タチツボスミレ(画像下)も陽だまりでは2月末ぐらいから咲いているが、本格化するのはまだ先だ。 よ…

3月初旬の花

春を通り越して初夏を思わせるような日があったと思ったら翌日は真冬のような冷たい雨が降る。極端な気温の変化は温暖化によるものなのか。均せば暖かい方になるだろう。様々な植物の固いツボミが動き出した。2月末から3月初旬の花。 ネコヤナギ(画像上)…

ウメの蜜にメジロが来る

強い北風が吹いて寒い日の午後、郊外の公園の梅林に行った。いま満開だが人はほとんどいない。先日街中のカンツバキに来るメジロを撮ろうとしたがうまくいかなかった。今日はそのリベンジだ。予想通り5、6羽の群れがいた。花の中を動き回って一心不乱に蜜を…

タラヨウ

多摩丘陵にある大きな寺院。屋根の破風に見られる三つ鱗(みつうろこ、北条氏の家紋)の紋が由緒を感じさせる。境内を歩いていると赤い実とツヤのある葉の木が目についた。同行の人にタラヨウ(多羅葉)だと教えてもらった。 モチノキ科の常緑高木。静岡県よ…

ノギクの花11月初旬

11月に入っても昼間は暑い日が続く。それでも、多摩丘陵を歩いていると様々なノギクの花に出会う。季節はちゃんと進んでいる。秋たけなわだ。 ヤクシソウとシラヤマギク(画像上) 2週間ほど前に見つけたノギクの群生地に行ってみた。ヤクシソウ(黄色)はま…

オヤマボクチ

谷間を歩いていて雑木林の林縁で見つけた。キク科アザミの仲間である。花は径4㎝ぐらいある樽(たる)型。近づくと赤紫色のトゲだらけで異様な感じがする。普通のアザミの総苞(そうほう、花全体を包むガク)を大型化したような形だ。倒れているが草丈は1ⅿ以…

谷間の植物:秋

多摩丘陵から高尾山の方につながる山地は最高所でも3-400mで、多くの谷(谷戸、やと)が切れ込んだ複雑な地形をしている。谷戸の道を歩いていくと薄暗い雑木林の中に続いていた。近くに谷川があるので湿度が高くしっとりした空気に包まれている。ここは半日…

里山のお花畑

気持ちの良い晴れの日が続く。多摩丘陵を歩いていると、雑木林の斜面にチラリと白いものが見えた。緩い崖を登って低い茂みを抜けると、白と黄色の花が咲き乱れていた。シラヤマギクとヤクシソウだ。画像は強い日差しのため露出過剰であるが、実際は茂みの中…

木の実草の実10月上旬

雑木林の中を歩いていると様々な草木に実がついていることに気が付く。 ホオノキ(画像上) モクレン科。5,6月に咲くクリーム色の大きな花が咲く。それがドリアンのようなトゲトゲの赤い実に変わっており異様な感じを受ける。一部の実は裂けてツヤのある赤い…

マヤラン(摩耶蘭)

薄暗い雑木林の中の小道の脇で花を付けていた。出会ったのは今回が初めてである。草丈が5㎝ほどしかなく枯れたササのようにしか見えない。多摩丘陵でも見られるとの情報があるので気を付けてはいたが、こんな繊細なものとは思っていなかった。 花はガクが3…

秋の花10月初旬(キク科)

近場に丘陵地の尾根が帯状に残ったところがある。周辺は全て住宅地だが、高度差があるためか開発が及ばず、手つかずの雑木林になっている。その中の小道を歩いた。出会った花はキク科が多かったのでまとめてみた。 コウヤボウキ(画像上) 林下の道沿いに群…

丘陵地の花:初秋

10月1日。涼しい風が吹く中、多摩丘陵を歩いた。いつもとは違う地域である。雑木林は広大なニュータウンと幹線道路で分断されており、住宅地の道端はありふれた雑草ばかりだ。しかしよく見ていくと、生い茂る草の中にかつての里山の秋の花があった。 カラス…

9月中旬里山の花

近場の住宅地。低い丘陵が自然公園として残されている。草刈りなど手入れがされておりかつての里山の植物がみられる。まだ蒸し暑い日曜日に歩いた。 ハギの花と黄蝶(画像上) 秋の七草にも入っている萩の花は今盛りだった。少し派手なので園芸種のミヤギノ…

8月上旬の花

ここ10日ばかりの間に街中や近場の公園などで出会った真夏の花。 キキョウ(画像上) 公園で見かけたもの。涼しげな花色から秋の花の印象があるが6~9月の夏が花期である。山野の日当たりの良い場所を好むとのことだが、今やそんな環境はなくなりつつあり…

7月中旬の植物

このところ関東地方は猛烈な暑さで、晴れた昼間に外を歩くのは危険だ。今日はようやく曇って少し風も出てきたようだ。近場(電車で15分)の丘陵地を歩いてみた。木々の緑が濃いので、よく注意していないと見過ごしてしまう。 ウワミズザクラの実(画像上) …

谷戸田(やとだ)周辺の植物

多摩丘陵の谷は、奥に水が沸いていて小川が流れ出しており、水田として利用されていることが多い。これを谷戸田という。周りの里山も含めて古くから人と自然がかかわりあいをもってきた歴史がある。このような場所は植物も独特である。 タチアオイ(立葵、画…

タカトウダイ(高燈台)の花

トウダイグサの仲間の中では背が高く、この個体は80㎝ぐらいある。花は春4月の高尾山で見たナツトウダイ(夏燈台)のアバンギャルドな花をおとなしくしたような構成になっている。開花時期からいうとこちらの方が「夏」にふさわしい。 トウダイグサ科の花は…

セリ(芹)の花

丘陵地の古い集落の近くを歩いていたら、畑地の草むらの中で白い花が目についた。草丈は40~30㎝ぐらい。ごく小さな花の丸い塊りがさらにいくつか集まって傘のようになっている。なかなか美しいと思う。 一見してセリ科と分かるが、この仲間の植物は特徴が少…

イグサ(藺草)

標準和名は「イ」といい、日本最短だ。多摩丘陵の谷水田の畔に生えていたもの。 藺草といえば畳表に使われ、あの匂いを思い出す。都会のマンションでは畳はもう使われなくなっているかもしれないが、近所ではご町内に一軒ぐらい畳屋がまだある。最近は、純植…

ヤブカンゾウ(藪萱草)

梅雨も後半となり晴れると高温多湿でもう真夏のようだ。駅で電車を待っていたら線路脇の草むらの中にヤブカンゾウの朱色の花を見かけた。今年もこの花の時期になったなあと思う。 水田の近くなど湿気が高い場所を好む。近場の丘陵地ではちょうど田植えの時期…

6月初旬:若い木の実

今日にも梅雨入りの発表がありそうな今頃。野山は花の季節が終わって緑一色だ。よく見ると木々が青い実を付けている。花の頃の記憶を頼りに若い実を見ていこう。 ウワミズザクラ(上溝桜、画像上) 房(ふさ)咲きする桜の仲間。サクランボも数珠繋ぎになっ…

テリハノイバラ2023

好きな植物で毎年紹介している。近場では今頃が開花期で、日当たりが良く風が強い河原や丘陵地に多い。葉は普通ツヤのある濃緑色だが、この個体は珍しく全体に黄色っぽくて黄緑色をしている。 花の直径は4㎝ほどもあり野バラの仲間では大型だ。しかし花びら…

5月初旬の野の花(青、紫)

連休中に近場の低山で出会った花。 ホタルカズラ(画像上) ムラサキ科。一度近くの里山で見かけたことがある。今回は山の中の林縁に固まって生えていた。 ハンショウヅル(半鐘蔓、画像下) キンポウゲ科のツル植物。神社の植え込みに絡まっているものを見…

5月初旬の野の花(黄色)

低山の林の中の道を歩いていて出会った植物。少し谷間のようになっていて、たまに木漏れ陽があるぐらいの半日陰。近くに沢があり、所々崖から水がしみだしているような湿気の高い場所である。先ずは一番目立つ黄色の花から。 キンポウゲ(ウマノアシガタ、画…

マルバウツギ

連休中低山のハイキングコースを歩いた。東京都と神奈川県の境ぐらい。薄暗い林の中の道には花をつけたコゴメウツギ(バラ科)が次々に現れる。それに交じって大きめの白い花を咲かせていたのがこの木だ。本来は円錐形の花序(花の集まり)が立ち上がるが、…

タツナミソウいろいろ

雑木林の林縁の斜面、半日陰のような場所。今は緑の草でいっぱいだ。その中でスッと花穂を伸ばしているのがこの花。澄んだ青紫色が蛍光を発しているようで美しい。多摩丘陵では至るところで見られる。 シソ科の多年草。本州以南に分布する。名前の由来は、花…

4月後半の木の花

今頃の雑木林の中で咲いている木の花は白いものばかりで地味だ。咲いていることすら気づかない人も多いだろう。葉が鬱蒼と茂って薄暗く、赤や黄色の花では授粉してくれる虫たちに対して目立たないのだろうか。ともあれ爽やかな印象で、今頃の空気感の一部に…

ミズキの花

ミズキは高木で、今頃樹冠に白い花をつける。小花は径8㎜ほど。細い花びら4枚が十文字型につき、4本の雄シベが交差するシンプルな作りで、密集した花序をつくる。遠くから見るとワタを被ったようだ。甘酸っぱい香りがする。 ミズキ科。春先に枝を切る(やっ…

竹林の中

雨上がりの日曜日。管理を任されている多摩丘陵の竹林でのタケノコの試し掘りに参加した。雨後の竹の子というから期待したがほとんど出ていなかった。一時間ぐらいでようやく人数分採れた。昨年は多かったので今年は裏作のようだ。 画像では竹が密に生えてい…

モウソウチク(孟宗竹)

多摩丘陵の竹林。かつての里山ではよく手入れされていたが、最近は放置されて荒れてしまった竹林を見ることが多い。ここは私の属するNPOで管理しており、冬の間に古くて黄色くなったり倒れたりしたものを切って整理している。春から初夏にかけての緑したたる…