細い茎に花が乗っかってバランスをとっているように見える。以前紹介したムラサキケマンの仲間。花の形がそっくりだ。先端が唇のような形で、反対側が長く伸びて蜜のたまる距(きょ)になっている。花房(はなぶさ)にならず、2輪ずつ咲くようだ。葉は小さく、三裂した小葉が三つの複葉である。
次郎坊延胡索。ムズカシイ植物名のベストテンに入るだろう。ケシ科キケマン属。延胡索(エンゴサク)というのはキケマンの中国名で、塊茎を乾燥したものは同名の漢方薬になる。また、三重県伊勢地方では、この花はスミレの太郎坊に対して次郎坊(ジロウボウではない)と呼ばれる。子供が花をからませ引っぱりあって遊ぶそうである。
若葉が広がる頃には地上部が消えて、翌春まで地下茎で過ごすスプリングエフェメラル(春の儚いもの)の一種である。