今の時期、街中から田舎まで至る所で大量に見かける。地面の放射状の葉から不釣り合いに長い花穂を一斉に伸ばして、集合花を付けている。中には高さ1メートル近いものまである。林縁など半日陰に多いように思う。
日本全土に分布するキク科植物で、花の直径は7~8ミリと小型。花びらは20枚程度で、形はヤクシソウなどに似たリボン型である。葉や茎が茶色や赤紫色を帯びており、細かい毛でつや消しのモスグリーンになっている。いわば迷彩色で目立たない。
田に張りついたロゼット状の葉がタビラコ(田平子)の名の由来である。強いとかゴツイとか、「鬼」のイメージはないが、どこにでも鬼のように生えている、という意味かもしれない。
面白いのは大と小で別種の植物のような印象を受けることだ。小さい方は草丈10㎝ぐらいで、花を1~数輪付けるだけだ。そのため、長い間近縁のコオニタビラコ(タビラコ)だと思いこんでいた。コオニタビラコは花弁の数が7~10枚で、草丈は10㎝ぐらい。ヤブタビラコは日陰に多く、全体に毛が多いことで見分けられる。