新緑の季節。丘陵を歩いていると雑木林の下草としてよく出会う。爽やかな風を受けてこの花が揺れると、かすかにシャランと音が聞こえるような気がする。
名前の由来は、寺院建築の屋根の四隅に下がった飾り、宝鐸(ほうたく)である。風鐸ともいう。金属製の鈴のようなもので、風に揺れて音を出す。しかしうまく名付けたものだ。
イヌサフラン科チゴユリ属。東アジアに広範囲に自生する。草丈は50㎝程度しかない。花は上下2㎝ぐらい。6枚の花弁はチゴユリのように開かず筒状。葉の根元の一か所から1~3輪が下向きに垂れている。よく似たアマドコロやナルコユリは花弁が合着し、花の付き方も違う。ごく地味なのに目に付くのは、周囲の緑の中で白いものが揺れるためかもしれない。
花弁は白く先の方が緑色でグラデーションになっている。この個体の色は淡い方だ。もっとコントラストがくっきりしたものもある。大きさや形の変異も結構あり、これが鈴なら色々な音で鳴っていることだろう。