低山や丘陵地の林縁などで、春先に草叢を作っている植物だ。草丈は30㎝ぐらいで、薄く細かく切れ込んだ葉や小さな花はいかにも繊細だ。花は径1㎜ぐらいで、拡大して、辛うじて5枚の白い花弁が少し赤く色づいているのが分かる。
セリ科の日本固有種。セントウの名の由来は諸説ある。「仙洞」と漢字で書くと、仙人の住処(すみか)ということになり、そのような深山幽谷に生えている草ということになる。今の人は仙人といえばドラゴンボールの亀仙人ぐらいしか知らないと思うが、イメージはなんとなくわかると思う。
このような小型で繊細な植物は、他の草が伸びてくる前に花を咲かせて種を作り、そのうち消えてしまう。雲か霞(かすみ)のような存在である。いかにもという感じだ。