この花もヒメハギと同じ頃に見られる里山の春の先駆けだ。少し木陰になるような場所に多い。シソ科の特徴がある5~10㎜の花が10段ほど縦に並んで、10~20㎝の花穂を形成している。
花が積み重なっている様子を、平安時代の宮廷女官の重ね着であるジュウニヒトエ(十二単)に例えた雅(みやび)な名称である。植物全体に白い毛が多く、わずかに紫色を帯びた白い花色とともに独特の雰囲気をかもし出している。地味な花色なのに意外と目立つ。
日本固有種だが、花色の濃い西洋ジュウニヒトエという種類もある。こちらはヨーロッパ原産の園芸種(学名からアジュガとも呼ばれる。)が逃げ出した外来種である。やはり花が今頃の、濃い青紫の花のキランソウとは類縁だ。地面に張り付くように生えているが、小花や葉の形がそっくりである。