サトイモ科テンナンショウ属の多年草。この仲間は春山のハイキングではよく見かける。いずれも奇妙な花を付ける。蛇が鎌首をもたげたような花で、いきなり見ると驚かされる。さらに蛇の舌のようなものが出ていて、ムチのように長く伸びていることに二度驚く。名前の由来は、花から長く伸びたもの(付属体)を浦島太郎の釣り竿に例えたものだ。
何しろ変わっている。太い葉柄を持つ葉が一本出て先に掌状の小葉が10枚以上付く。その根元から、花茎を出す。花は、独特の黒褐色の縞模様がある苞(仏炎苞、ぶつえんほう)に包まれた穂のような形をしている。これは肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれるもので、その先端から付属体が長く伸びている。
見方によってはミミズクのような鳥の顔や、アフリカの仮面のようにも見える。不気味だが、不思議な造形に興味がひかれるのも確かである。