多摩丘陵の明るい雑木林の中を歩いていて、突然群生しているヤマブキに出会った。その花色の鮮やかさに見とれてしまった。少し暗い林の中で光を発しているようだった。街中で庭先に植えられているものを見ることも多いが、一株ずつでは少し寂しげである。
いわゆる山吹色はオレンジ色と黄色の中間である。小判の金色のことも言うので、やはり光り輝くイメージがある。
バラ科ヤマブキ属の一属一種である。古来から日本人に愛でられてきた。花を接写すると、丸い花弁の付け根が細く、すき間が見えるところは同じ科のボケに似ている。隙間からのぞくガクの緑色がアクセントになっている。雄シベが多いところは、花弁と同色なので気にならない。
現地ではきれいに整った形の花だと思ったが、画像にしてみると花弁が微妙によれている。色彩の強烈さが瑕疵を隠してしまったようだ。しかし微妙な陰影があった方がかえって趣(おもむき)があって良いと思う。