与謝蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」の句は、春の夕暮れ時の菜の花畑を詠んだものとされている。しかし、昼と夜だけでなく過去から未来への時間の流れや、宇宙的な空間の広がりまで感じられる。好きな句である。
彼の時代(江戸中期)、庶民にも安価な菜種油が灯明に使われるようになり、菜の花畑がどんどん広がっていった時期に当たる。夜の風景が変わるとともに、昼の情景も変わっていく時期に当たっていた。つまり蕪村には新しい時代の景観であったのだ。
遠景はワールドカップの記憶も新しい横浜国際総合競技場(日産スタジアム)である。できた頃は、周辺は横浜市郊外ののどかな風景が広がっていたが、ひっきりなしに建設工事が行われてどんどん変貌している。ナノハナには未来的なものが似合うと思う。