生け垣に混じって生えていた小さなエノキ(榎)の木に、径5㎜ぐらいの若い緑の実が付いている。夏から秋にかけてオレンジ色に変わる。おや?変な実があるぞ。葉の根元の枝ではなく、葉に直接付いている。付く向きもバラバラだ。形も先が尖ったネギ坊主型で縦にスジがある。初めて見た。蝶の卵にも似ているし…。
調べると、虫えい(虫こぶ)の一種だった。エノキトガリタマフシ(榎尖り玉付子)というもので、中にエノキトガリタマバエというハエの一種の幼虫が一匹入っている。尖り玉というのは形の表現で、付子はブシとかブスともいわれる虫こぶの漢方名だ。虫えいは初夏にはポロリと地面に落ち、来年の3-4月頃成虫が羽化して新芽に産卵する。
植物に寄生する昆虫や病原菌の中には、宿主植物を大きく変形させてしまったり、不思議な構造物を作らせたりするものがいる。遺伝子から変えねばこんな形にはならないだろう。何とも驚異的な能力である。