植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

オオタカ

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 今日、多摩丘陵オオタカ(大鷹)を見た。

 一緒にいた野鳥に詳しい知人から、オオタカが送電線の鉄塔のてっぺんにいると知らされた。見上げて目を凝らしたが、肉眼ではほとんどわからなかった。持っていた小さなデジカメの望遠でかろうじて撮れたのがこの画像である。

 とっさのことだったので酷い画像になってしまったが、東京都内でオオタカが見られたということであえて公開した。

  残念ながら後ろ姿である。他に何枚も撮った写真では、目の周りの黒い模様などが写っているものもあった。少し首を動かす程度だったようだ。その知人は何度も双眼鏡で見ているそうだし、確実にオオタカだと思う。

  何よりも、鉄塔の一番高いところに悠然ととまっている佇まいは、まさに生態系の頂点である猛禽類だ。あんなところに一羽でとまっている鳥は他にいない。野ネズミかキジバトでも狙っているのだろうか。あそこから見えるとするとたいしたものだが。

  何故か鉄塔の根元のあたりにカラスが群れて騒いでいたが、全く眼中にないようだった。格の違いだ。さすがである。

  ふと見上げると、もういなくなっていた。

ヒトリシズカ(一人静)

 

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 これもかしの木山で見つけたもの。

 

 以前紹介した秋に真っ赤な実がなるセンリョウの仲間だ。ただし後でできる実は黒くて小さい球が集まった感じだそうだ。

 雅(みやび)さを感じる名前は、花を一人で舞を舞う静御前(しずかごぜん)に見立てたものとのこと。ツヤのある葉に一本ずつ花穂が付き、葉に空の光が反射して、凛とした風情を感じさせるのは確かである。義経との悲しいロマンス「静のおだまき」を思う。

 

 しかしよく見るとこの花は花弁がなく白い部分は雄シベである。近縁のフタリシズカや科名になっているセンリョウの花もよく似ている。ネットでは「ブラシ状」の花と書かれていた。無粋(ぶすい)だがソノマンマなのでまあしょうがない。

 

春のリンドウ

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 昨年、多摩丘陵谷戸(やと)で見つけた春咲きのリンドウについて紹介した。その時は草丈が2センチメートル程と信じられないほど小さく、花色も淡いためコケ(苔)リンドウとしていた。

 ところが今年、かしの木山自然公園(東京都町田市)で同じような花を数か所で見かけた。ネット等で調べてみるとよく似た種類としてハル(春)リンドウとフデ(筆)リンドウがある。花の大きさは前回より大きいかもしれないが、いずれも秋咲きより小型である。

 見分けるのは根元の葉の形とのことだが、まだ伸びきっていない状態のためはっきりしない。根元をほじるようなこともしたくない。また花の形や色、植物体の大きさについても個体変異や生育ステージによって幅があり基準にならない。

 困ったので、正確な名前はペンディングということにしておく。スイマセン。

 

 しかし、ちょっと春霞のかかった青空のような澄んだ色だ。大事にしたいと思う。

 

サンショウの花

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 お隣の家の片隅に小さなサンショウの木が植えてある。若芽は春の食材「木の芽」の代表である。

 新芽が吹き出して、花をつけている。花と言っても、花びらが退化しているので、全体に黄緑色で目立たない。どうなっているのか接写してみたのがこの画像である。

 未熟な花は10本以上の黄色っぽい雄シベがかたまっており、咲くと放射状に開く。「最初はグー」で、その後パーを出した感じ。結構面白い自然の造形だ。

  植物としては日本原産で、ミカン科だ。そのためか葉も実も木全体が薫り高い。なお、サンショウの木には雌雄が有る。そういえば雄シベばかりだし、実がなったのを見たことがないので、この木はオスらしい。

 サンショウと言えば、あのピリッとした辛さである。辛いのではなく、「痺れる」のを辛いと感じているものだそうだ。粉山椒を真っ黒にかける麻婆豆腐の「麻」は麻痺の意味だと聞いたことがある。

 食材として使うと、フレッシュな香りと痺れる辛さで何とも言えぬ風味が加わる。ちなみに、私はチリメンザンショウがご飯の友のベストであると思っている。昔、ケンタに「胡山椒(ござんしょ)チキン」というのがあった。ゴマとサンショウだが、これも絶品だった。復活希望。

アメリカフウロ

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 昭和初期に北アメリカから牧草などと共に持ち込まれた帰化植物である。前回の空き地で黄色いツメクサに混じって咲いていた。

 以前紹介した同じフウロソウ科ゲンノショウコとはよく似ている。おもな違いは、葉の切れ込みが深く、花期が夏のゲンノショウコに対して春である点だ。

 花もよく似ている。但し、小ぶりであっさりした薄紫色のため印象に残らない。ゲンノショウコは微妙にパステルカラーが入っておりカワイイ。近縁にオランダフウロというものがあるが、こちらは紅(くれない)がかった目を引く花である。

 なお、ゲンノショウコのような薬効の記載はない。画像では寒さに当たったのか一部の葉が赤くなっているが、秋には全体が赤橙色に紅葉するそうだ。

 

 というわけで、いいところもあるのになぜか雑草扱いされている植物である。私の偏見だが、アメリカ原産にありがちな荒削りの外観と、はびこる性質のせいだろうか。

コメツブツメクサ

 

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 クローバーが群がって咲いているのを見ると春だなあと思う。よくある白い花はシロツメクサという名である。「ツメクサ」という名は、江戸の昔オランダからガラス器を輸入するとき、「詰め物」として乾燥させた牧草が用いられたことによるという。

 赤紫のムラサキ(アカ)ツメクサもよく見かけるが、「ツメクサ」の仲間に黄色い種類があることをご存じだろうか。

 

 画像はコメツブツメクサ(米粒詰草)という種類である。シロツメクサより全体にかなり小さいためにこの名がある。「コメツブ」といわれるように花は少し離れると黄色い点々にしか見えない。だが接写するとなかなかきれいだ。ちょっとオレンジが掛かっていて春らしくてよい色だ。これまた似た種類がいくつかあるが、花の形からこの植物でよいと思う。

 

 近所に土むき出しの空き地があり、いつも車が止まっている。うちの近辺の雑草は、今の時期はカラスノエンドウホトケノザなどが盛りだが、何故かそこだけちょっと変わった種類が生えている。その中で見つけたものである。

 はるかヨーロッパから船に乗ってきた植物である。どういういきさつで近くまでやって来たのかはいろいろ想像が膨らんで楽しい。

ホトケノザ

 

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 今の季節には、一斉に草丈を伸ばし赤紫の花を付ける。シソ科特有の唇(くちびる)にたとえられる花は、拡大すると実にユニークな形と模様であることがわかる。丸い葉が仏様の蓮の台(はすのうてな)に見立てられて「仏の座」というそうである。葉の中央の紅色の点は閉鎖花(へいさか)で、確実に種を残すために閉じたつぼみの中で自家受粉する。

 

 ホトケノザといえば春の七草を思い浮かべるが、あれはじつはコオニタビラコというキク科の植物の別名(昔の名前)だ。こちらが本来のホトケノザである。残念ながら食べられない。しかし蜜は豊富らしく蜂が来ているのをよく見かける。

 

 一気に伸びたと思ったら、全体が白く粉を吹いたようになり枯れてしまうことが多い。これはうどん粉病というカビの仲間の菌に侵されるためである。

 うどん粉病菌は多種類あり、取りつく植物がだいたい決まっている。しかし、ホトケノザにつく菌はウリ科の作物などにも感染する。庭の片隅のホトケノザも放っておいたら白くなり、近くに置いておいたプランターのミニメロンがやられた。葉が白くなってどんどん枯れあがり、結局1個しか収穫できなかった。

 

 つまり春先にうどん粉病菌を培養して胞子をまき散らし、作物への感染を媒介するのである。目のカタキにする農家さんがいるのもうなずける。