植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ホトケノザ

 

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 今の季節には、一斉に草丈を伸ばし赤紫の花を付ける。シソ科特有の唇(くちびる)にたとえられる花は、拡大すると実にユニークな形と模様であることがわかる。丸い葉が仏様の蓮の台(はすのうてな)に見立てられて「仏の座」というそうである。葉の中央の紅色の点は閉鎖花(へいさか)で、確実に種を残すために閉じたつぼみの中で自家受粉する。

 

 ホトケノザといえば春の七草を思い浮かべるが、あれはじつはコオニタビラコというキク科の植物の別名(昔の名前)だ。こちらが本来のホトケノザである。残念ながら食べられない。しかし蜜は豊富らしく蜂が来ているのをよく見かける。

 

 一気に伸びたと思ったら、全体が白く粉を吹いたようになり枯れてしまうことが多い。これはうどん粉病というカビの仲間の菌に侵されるためである。

 うどん粉病菌は多種類あり、取りつく植物がだいたい決まっている。しかし、ホトケノザにつく菌はウリ科の作物などにも感染する。庭の片隅のホトケノザも放っておいたら白くなり、近くに置いておいたプランターのミニメロンがやられた。葉が白くなってどんどん枯れあがり、結局1個しか収穫できなかった。

 

 つまり春先にうどん粉病菌を培養して胞子をまき散らし、作物への感染を媒介するのである。目のカタキにする農家さんがいるのもうなずける。