植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ユキワリソウ

 

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 相模原市の「カタクリの里」で多数見かけた。早春の草の花の例にもれず小型の可愛い花である。花にはパステルカラーの砂糖菓子のような独特の質感がある。

 ユキワリソウ(雪割草)はキンポウゲ科ミスミソウ(三角草)の別名である。日本海側の地方では自生していて、雪の中でも枯れない。葉が膨らんだ三角形の小葉三枚からなっていて、全体として大きな三角形を形成している。そのため三角草の名があるようだ。サクラソウ科のユキワリソウもあるが、ミスミソウの別名の方が有名になってしまった。

 この植物の特徴は何といっても驚異的な花の変異である。花と言っても派手な色の花びらに見えるのはじつはガクで、花弁は退化している。色、大きさ、ガク片の形と数、雄シベの大きさ、一重咲きと八重咲き…など様々な変異が複合する、しかも、それらの変異が一株の中で現れる。

 画像には多様な花が見えているが基本的に2株である。右上は花の色は同じで、ガク片の数が5~8枚の間で変化している。花の中央に広がっている雄シベがこれまた大きさが千差万別である。一方、左側は花の形や色が多様に変化している。ネットで調べると、現在品種改良で作り出されている花は絢爛華麗で、とてもこんなものではない。

 遺伝形質は植物単位で遺伝するものと思っていた。1株の中で多数出る花が皆違うというのはどういうことなのだろう。父がサツキの盆栽をやっていたので知っているが、「枝変わり」といって突然一本の枝だけに別の花が咲くことがある。その枝を挿し木すればそのまま定着するとのこと。それに似た現象だろうか。

 こんなこともあるから植物は面白い。

ウグイスカグラ

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 花も葉も大変小ぶりな灌木(かんぼく)だ。雑木林の中でそこはかとなく生えている感じである。よく見ないと花が咲いていることすらわからない。しかし接写して詳細に見ると実に美しい。ちょっと和風の趣があるので好きな花である。2月初めごろにも咲いているのを見たことがあるが、今の時期が花の盛りである。

 スイカズラ(忍冬、金銀花)の仲間だそうである。鶯の啼く今頃に咲くのでウグイスカラというのかと思ったが、スイカズラのように蔓性(つるせい)ではないので蔓(かずら)というのはおかしい。カラ(神楽)である。名前の由来はよく分からないとのこと。

 

 初夏に真っ赤な実がなり、甘くて食べられる。ウグイスかどうかは知らないが、鳥がお祭り(お神楽?)をした後食べて種を蒔くらしい。そのため雑木林の中などいろいろなところで見かける。地味だが堅実に生きている植物である。

シロバナカタクリ

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 3月も末になり気候も良くなってきた。今日は、相模原市の「カタクリの里」に出かけた。山野草を集めた植物園である。今の時期はカタクリの花を中心に様々な早春の花が咲き乱れるので、ほぼ毎年観に行っている。

 予想通りちょうど開いたカタクリの花が里山の広い斜面を覆っていた。草丈は10センチメートルもない小さな植物であり、葉に黒い斑点があって迷彩色のようになっている。一株ではあまり目立つものではないが、一面に咲いていると壮観である。種が芽を出してから開花まで6,7年かかるとのことで、主催者の方の長年の努力の程がうかがえる。

 カタクリの花は薄紫から赤紫まで様々である。うつむいた感じで咲いているため、正面から写真を撮るとなると下から狙うしかない。あちこちで地面に這いつくばってカメラを構えている人が見られた。

 画像は珍しい白花種である。やや小ぶりで、葉の色が薄く華奢な感じ。黒点もない。(左側は普通種の葉)そのためとりわけ清楚な感じがする。よほど珍しいらしく所在を示す看板が近くに立ててあった。

 赤紫(カタクリ)、薄黄色(ヒカゲツツジ、キブシなど)、ピンク(玄海ツツジ)…多種類の春らしい色の花の競演であった。

モミジイチゴ(紅葉苺)

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 日当たりのよい雑木林の林縁で咲いていた。直径3㎝ぐらいある大きめの花を直線的な枝に沿って多数つける。しかし地味な純白色で下向きに咲くためか、あまり目立たない。この画像は高い位置の花を下から見上げる形で撮ったものである。小さな蜂(ハバチの仲間?)が一緒にいるのがご愛敬だ。春らしい光景である。

  バラ科キイチゴ属で、秋に黄色っぽいオレンジ色の粒が集まった実がなる。いわゆる野イチゴ、ラズベリーの仲間である。

 以前はモミジイチゴといっていたと思う。確かに葉はカエデに似ている。だが、その名ではウイキペディアがなく、モミジイチゴが正しいようだ。漢字で「葉」が重なってしまうからかもしれない。

 木イチゴは美味しいのだが、私が食べると口の中やのどがむず痒くなる。以前述べたが、ハンノキ属の花粉症に伴うフルーツアレルギーのためだ。食物アレルギーの検査では、バラ科の果物(リンゴ、桃など)に弱いながら反応が出た。困ったものである。

 この植物は人の背丈ぐらいの低木だが、樹勢が旺盛で他の植物を駆逐する。そのためネザサと同じように里山を荒廃させてしまう。また鋭いとげを持っていることからも嫌われて、自然公園では刈り取られているようだ。

 

ヒュウガミズキの花

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 最近は、早春の黄色い花を咲いた順番に紹介している。

 

 この植物はマンサク科トサミズキ属の落葉低木(樹高1.2-2メートル)である。半球状の樹形で、葉が出る前に株全体が無数の小さな黄色い花で覆われる。公園などでよく見かける。

 

 花色は前回のサンシュユよりやや白っぽく、少し緑がかった上品な黄色である。画像は未だ開ききっていないつぼみだ。

 

 近畿地方日本海側などの限られた地域に自生しているそうである。 しかし、名前はヒュウガ(日向=宮崎県)なのにそこには自生していない。葉に筋が目立つのでミズキ科かと思うとそうでもない。

 

 ネットによると「どうも誤解されたらしい」などと書いてある。面白い名前の由来もあるものだ。しかし名前のイメージと花の感じは合っているように思う。日向みずきなんて芸名でありそうだ。

 

 上の写真を撮った時は、蕾からちょうど花芽が噴出したところであった。「花にはちょっと早かったかな」と思いながら、カメラを持って大きな株の周りをゆっくり一周したら、最初に見たところの花が開いていた。見ている間に花が咲いた経験は初めてである。まあ、春とはそんなものかもしれない。

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サンシュユの花

 

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 サンシュユの花が今満開である。公園だけでなく街のあちこちに植えられている。

 近づいて見ると黄色い火花のようだ。花の形がはっきりわからなかったので、接写して詳細にみてみることにした。

 つぼみが四つに割れて開くと、細長い柄が多数噴き出す。その先にそれぞれ丸っこく見える小さい花が付く。花は四弁で反り返っており、雄シベが目立つ。これらすべてが鮮やかな黄色である。

  ミズキ科で15メートルぐらいになる小高木である。葉には縦に筋があってミズキそっくりだ。地味だがさわやかな印象を与える木だ。

 調べてみると、漢字では「山茱萸」と書き、変わった名前はその音読みである。原産地の中国では「茱萸」は植物のグミのことらしい。要するに山のグミだな。わずかの時間のことを「しゅゆ(須臾)」というが関係ないようだ。

 

 そういえば、昨年の初冬、葉が落ちたサンシュユの木に残った実を見つけた。確かにグミに似ている。毛が少なくツヤがあるので、赤いジェリービーンズ(グミ⤵?)みたいで美しい。ただし渋くて食べにくいそうだ。

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 この木は春、夏、秋、冬に、花、葉、実がそれぞれの「美」を見せてくれる。なかなか楽しい植物だ。

キンクロハジロ

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 町田市の薬師池で見たものである。

 水面を泳いでいるときは、黒色でお腹が白いカモといった感じであるが、飛び立つとき羽を広げると羽の先に白いスジが現れる。目が黄色に光っており金色に見える。というわけで名前がキンクロハジロ(金黒羽白)になったとのこと。ソノマンマである。

 画像は2羽とも雄だ。近くに同じ形であるが色が全体にこげ茶色のグラデーションになっているものがいたが、雌である。見ると3-5羽の群れになっていた。

 よく見るとトボケタ顔をしている。後ろ頭にチョンマゲみたいな冠羽(かんう)があるとのことだが、この角度では見えない。他のカモの仲間と比べると体がガッチリ(メタボ?)しており、そのせいか飛び立つときバタバタするそうである。

 鳥はいつも動いているし近づくと逃げるので、高価な望遠レンズで狙わないと良い写真は難しい。ポケットタイプのデジカメしか持っていないし、近くでしげしげと見たい方の私は、ブログネタにはならないと思っていた。

 しかし街で鳥を見て美しさにハッと気づくこともある。今回は、画像は残念であるがアップしてみることにした。