植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

石の花:青金石(せいきんせき)

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 今度は青い石の花。色から想像されるようにラピス・ラズリ(瑠璃、るり)の主成分の鉱物である。大理石の中に結晶が埋もれており強烈な存在感を放っている。透明感はなく、粘土のような柔らかそうな質感だが、結構固い(モース硬度5-5.5)結晶だ。鉄(硬度4-5)の小型ドライバーで大理石(硬度3)の中から傷つけずに掘り出せる。

 菱形十二面体の結晶を作る。画像では稜線が見えるが、菱(ひし)形(平行四辺形?)の面ははっきりしない。

 アフガニスタン産。古代から中近東の特産物であり、地中海世界からはウルトラマリン(海の向こう)と呼ばれて群青色(濃い紫がかった青)の顔料等に使われたとのこと。有名なフェルメールブルーはこの色である。

 以前(11月6日付)紹介したナンテンハギの花もこの色である。カワイイ花だが、草むらの中で非常に目立っていた。画像を比べてみて頂きたい。

 紫がかった青というのは不思議に印象に残る。夜明け前の清浄な空の色を連想するからか。ユーミンの名曲「コバルトアワー」を思った。

 

石の花:辰砂(しんしゃ)

 無色とか地味な石の花が続いたので、赤い辰砂の結晶を紹介する。

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 これもミネラルショーで手に入れたもの。苦灰石の白い結晶中に埋もれている。水銀と硫黄からなる鉱物なので直接触らないほうが良い。机に置いて見ている分には問題はないと思う。

 

 この結晶の感触・魅力はどう表現すればよいのだろう。

 

 自然光のもとではツヤのある赤黒い塊に見える(画像上)。撮影の時ストロボを当てると結晶中に入った光で全体が光る(画像中)ので、光を通すようである。そのため透明感がある。

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 蛍光灯の光の下では角度を変えると全体が金属のようにギラリと光る(画像下)。いわゆる金剛(ダイヤモンド)光沢を有する。化合物になっても金属の性質を失わないのだろうか。

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 この輝きは金属水銀のものと同じだ。ガラス瓶に入った金属水銀を手に取ったことがあるが、きらめきのある金属なのに液体ということで不思議な感じがしたものである。ズシリとくる重さと、プルプル震える感触が印象的であった。

 

 辰砂の結晶は金属と非金属の中間のような性質(半導体)を持つ。光を強く反射するくせに、一部光を透過する。液体金属という水銀の不思議な性質と一脈通ずるものがある。

 中国貴州省産。最高品質の結晶は中国から出るとのこと。古代中国人は不老長寿の仙薬を作るために使った。これに神秘的な力を感じたのであろう。

センニンソウの種

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 昨年の9月11日付で紹介したセンニンソウの種である。紡錘形の種が放射状に並び、それぞれの先に無色のブラシのような毛がついている。昔の人はこの毛を仙人のヒゲに見立てて、センニンソウ(仙人草)と名付けたとのこと。

 夏場に山間部の資材置き場のフェンスにつるが巻き付き、白い花を大量に付けていたことを思い出した。冬の今は、つるは枯れていたが、この種がいまだに残っていて白い綿毛のようであった。

 中国の仙人や老師はだいたい白ずくめの服で杖を持った白髪・白いひげの老人が定番である。今ならドラゴンボール亀仙人のひげを思い浮かべればよい。

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 この不思議な造形から、仙人を想像した人はなかなかセンスが良いと思う。 

ミチタネツケバナ

 

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 名前の通り大量に種をつける、最近よく見かける雑草だ。普通のタネツケバナと思っていたが、似た外来種である。雑草取りの時、プチプチと音を立ててサヤが割れ、根を引き抜いた穴に種が飛び散る。これではわざわざ種を蒔いてやっているようなものだ。

 昨年1月の半ば、庭の地面をよく見るとこの植物がもう生えていることに気づいた。極小サイズながら立派なロゼットを形成している(画像)。その後少し暖かい日があると、小さいままつぼみをつけ花まで咲かせていて驚いた。そしてあっという間に種を振りまき、また次の世代が芽を出す。夏場は背丈が10センチ以上になるが、夏草が伸びてくると負けてしまうので早めに種をつけるのか。

 こんなヤツを減らすためにはどうしたらよいのであろう。考えたが、種をつける前に引き抜くことだ。ならばそれは今だ。昨年そう思って冬場と早春に除草をやってみたところ、今年はほとんど見かけなくなった。効果ありだ。

カラスウリと梅

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                          (相模川自然の村)

 郊外の公園を歩いているとき、枯れ落ちずに残ったカラスウリの実を見つけた。冬晴れの青空に朱色の実が鮮やかだった。秋の代表のような実も、こうなるといかにも寒々しく、もの悲しい感じがする。

 しかし、からみついているのは梅の木の枝で、よく見るとつぼみがもう膨らんでいる。陽差しも少しだが明るさを増してきた。梅の季節ももうすぐだ。

鎌倉野菜

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 3年ほど前鎌倉に行った時、市農協即売所というところで店頭に並んでいたものである。この建物は駅からほど近いのだが、外観は昭和の市場という感じで目立たない。しかし画像のように、置いてある野菜は大変カラフルでユニークだ。センスはいかにも「鎌倉」だ。

 冬だったので根菜類が多かったが、見ていて飽きなかった。欧米で栽培されている品種らしく、ほとんど初めて見たものだった。ただし、鎌倉山の高級レストランのサラダには似合っても、日本のナベや漬物には合わないような気がする。

 しかし、一般消費者に野菜に興味を持ってもらうという点で、このようなものを導入していくことも、今後の都市農業には必要だと思う。

小仏(こぼとけ)層群の砂岩

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 画像は、東京都の高尾山(たかおさん)東側の麓を流れる浅川(あさかわ)の川岸に露出していた砂岩である。固い岩であるが、よく見ると縦横に白い筋が入っており、筋のズレが見られる。強い圧力で押しつぶされて、幾重にも微小な断層が起こった結果と思われる。その後、地下水の作用で白っぽいミネラル分がセメントのようになって再度固まったのだろう。

 

 高尾山付近の地層は小仏層群と呼ばれ、中生代白亜紀後半(1億1500万~7400万年前)に海に堆積した岩石からなる。神奈川県東北部の津久井湖付近から北方の東京都西部に続く小仏山地を構成するものだ。恐竜がいた頃は、私の住んでいる南関東は海の底だったわけである。

 この山地は、フィリピン海プレートの北上に伴い500万年前に丹沢山塊が衝突したことにより、海底が強い圧力を受けて隆起したものだそうである。そのため地層には複雑な断層や褶曲構造が見られ、高尾山付近では地層がほぼ垂直になっている。

 

 プレートの動く速さは年間3、4センチで、指の爪が伸びる速度にたとえられる。しかしそれが500万年続くとすれば固い岩が砕け、海の底が山に変わることも納得できるように思う。