画像は、東京都の高尾山(たかおさん)東側の麓を流れる浅川(あさかわ)の川岸に露出していた砂岩である。固い岩であるが、よく見ると縦横に白い筋が入っており、筋のズレが見られる。強い圧力で押しつぶされて、幾重にも微小な断層が起こった結果と思われる。その後、地下水の作用で白っぽいミネラル分がセメントのようになって再度固まったのだろう。
高尾山付近の地層は小仏層群と呼ばれ、中生代白亜紀後半(1億1500万~7400万年前)に海に堆積した岩石からなる。神奈川県東北部の津久井湖付近から北方の東京都西部に続く小仏山地を構成するものだ。恐竜がいた頃は、私の住んでいる南関東は海の底だったわけである。
この山地は、フィリピン海プレートの北上に伴い500万年前に丹沢山塊が衝突したことにより、海底が強い圧力を受けて隆起したものだそうである。そのため地層には複雑な断層や褶曲構造が見られ、高尾山付近では地層がほぼ垂直になっている。
プレートの動く速さは年間3、4センチで、指の爪が伸びる速度にたとえられる。しかしそれが500万年続くとすれば固い岩が砕け、海の底が山に変わることも納得できるように思う。