無色とか地味な石の花が続いたので、赤い辰砂の結晶を紹介する。
これもミネラルショーで手に入れたもの。苦灰石の白い結晶中に埋もれている。水銀と硫黄からなる鉱物なので直接触らないほうが良い。机に置いて見ている分には問題はないと思う。
この結晶の感触・魅力はどう表現すればよいのだろう。
自然光のもとではツヤのある赤黒い塊に見える(画像上)。撮影の時ストロボを当てると結晶中に入った光で全体が光る(画像中)ので、光を通すようである。そのため透明感がある。
蛍光灯の光の下では角度を変えると全体が金属のようにギラリと光る(画像下)。いわゆる金剛(ダイヤモンド)光沢を有する。化合物になっても金属の性質を失わないのだろうか。
この輝きは金属水銀のものと同じだ。ガラス瓶に入った金属水銀を手に取ったことがあるが、きらめきのある金属なのに液体ということで不思議な感じがしたものである。ズシリとくる重さと、プルプル震える感触が印象的であった。
辰砂の結晶は金属と非金属の中間のような性質(半導体)を持つ。光を強く反射するくせに、一部光を透過する。液体金属という水銀の不思議な性質と一脈通ずるものがある。
中国貴州省産。最高品質の結晶は中国から出るとのこと。古代中国人は不老長寿の仙薬を作るために使った。これに神秘的な力を感じたのであろう。