植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ミカン狩り

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伊勢原市のミカン園。今の時期はまだ極早生(ごくわせ)種である。画像のように鈴生(すずな)りになったものがあった。グレープフルーツの名前はブドウのように生るためというが、温州ミカンでも似た感じになるようだ。他の実が分散しているのは手入れで間引いたのであろう。実が特定の枝に集中すると栄養を取りあって甘くなくなると思う。皆そう考えたので狩られず残ってしまったのかもしれない。

 

さて問題はどれが一番甘いかだ。ミカン園の人によると、木によって差があり、日当たりが良い方が甘いらしい。経験的には黄色っぽいものよりオレンジ色のものが甘いと思うが、木に生っていると差は微妙だ。周りの人たちもアーだコーだと言っている。結局、一番南側の木の陽が当たっている側の高いところについている実にした。他の木のものと食べ比べたが、ウーム、よくわからない。

 

子供の頃は10個でも平気だったのに、小さいもの4個でお腹いっぱいになってしまった。あたりは爽やかな甘い香りに包まれていた。

オオバクサフジ(大葉草藤)

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秋晴れウオーキングの続き。神奈川県伊勢原市の塔の山(標高203m)緑地公園というところで展望台に登った。マスクで登るのは結構ツラかったが、前後に人がいるので仕方がない。ただし上からの眺めは最高。伊勢原の街から、湘南台、江の島から三浦半島、横浜ランドマークまで一望できる。彼方に霞んでいるのは房総半島の山だ。

 

眺望を楽しんだ後周囲を見回したところ、林縁の草むらで咲いていたのがこの花だ。房咲きで一つの花の大きさは1.3㎝ぐらい。水彩絵の具のような紫色で花びらの付け根がピンク色ににじんだ色合いはファンタジックな印象を受ける。

 

マメ科ソラマメ属で、以前紹介したナンテンハギと同じだ。違いは双葉のナンテンハギに対して、つる性で偶数羽根状複葉である点で、小葉は4-10枚である。先端が巻きひげになっている。

 

低山の植物には高山でも平地でも見られないちょっと珍しいものがある。高々100m~200m登っただけなのに不思議だ。もっと低い丘陵地、いわゆる里山、は長年の人為とのかかわりがあって独特の植物があり、平地は開発されて外来種だらけ、違っていて当たり前か。

ローゼルの畑

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快晴の空の下、神奈川県伊勢原市の丹沢の山裾にあたる丘陵地を歩いてきた。フットパス普及のNPOのイベントである。途中ミカン狩りをした。そのミカン園で見たことのない紅い実が売られていた。径1.5㎝ぐらいで、聞くと名前はローゼル。ハイビスカス・ティーにするとのこと。

 

ハーブティーは一度猛烈に青臭いものをご馳走になったことがあって、それ以来敬遠していた。しかし澄んだ紅い色がきれいなハイビスカス・ティーは知っている。ただあの赤い花びらから作るものだと思い込んでいた。

 

ローゼルは同じアオイ科フヨウ属だが別種である。学名(Hibiscus sabdariffa)にハイビスカスが付いているのでウソではない。花はフヨウそっくりで、薄黄色い花びらの中央が暗赤色になっている。この実はガクと総苞(そうほう、複数のガクを包むもの)が肥大して実(種)を包む形になっている。ガクと総苞を食用(酸っぱい味がする)にしたり、煮出してお茶にしたりする。

 

さらに歩いていくとローゼルの畑に出会った。草丈は2mぐらい。熱帯地方原産なので葉はすでに枯れているが、三~五裂したモミジのような形である。茎まで艶のある紅色なのでいかにもエキゾチック(異国風)な感じである。古代エジプトではクレオパトラも食したとか。

マガモのカップル?

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市街地の中を流れる川。時々カルガモの群れが現れて水草などを漁っている。最近珍しくマガモが混じっていた。マガモの雄は深緑色の頭に黄色いくちばしで一目でわかる。留鳥カルガモに対して北から渡ってくる。そんな季節になったのだなあと思う。

 

さて画像のカップルだが、カルガモの群れから離れたところで仲睦まじく泳いでいた。微笑ましい。マガモのメスはオスと似ておらず、茶色のまだら模様でカルガモそっくりである。

 

見分け方は、目の部分の黒線についてカルガモがくっきりしているのに対し、マガモははっきりしない。ん?マガモのメスのくちばしは全体にオレンジ色で黒い模様がある。カルガモは黒くて先端が黄色いのが特徴…。あれっ、これカルガモじゃないの?背中の羽根の模様から見てもそのようだ。(間違っていたらゴメンナサイ)カルガモは雌雄ほぼ同じガラだが、背中の羽根が網目模様に見えるのでメスのようだ。

 

掟(おきて)破りの異種間カップルだ。ネットを調べるとマガモカルガモの雑種(ハイブリッド)についてのものが何件かあり、名前(非公式)をマルガモというそうだ。だからないワケではないのだろう。雑種は動植物界では間々あることだが、ヤヤコシイので止めて欲しい。と言っても無理だが。

フユノハナワラビ(冬の花蕨)

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拡大すると緑のツブツブの列がうねっている。蠢(うごめ)いていたらいやかもしれないが、こういうのは結構好きである。シダやコケに特有の単純な緑色がフレッシュな感じだ。

 

ほぼ日本全国に自生するシダ植物。シダ植物は花がなくツブツブの胞子嚢(ほうしのう)で胞子を作る。普通の葉を栄養葉といい、胞子嚢の付いた葉を胞子葉という。この種類は両者の形がはっきり分かれている。

 

ワラビに似た葉が冬にも枯れない。今頃胞子葉を出し、それが花のように見えるのでフユノハナワラビという。地面に広がった栄養葉から大きい胞子葉が直立し、色や形が違うので、確かに花のツボミに見えなくもない。

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この個体は草丈20㎝ぐらい。成熟すると胞子嚢が茶色くなり、真っ二つに割れて胞子が飛び出す。その後胞子葉は枯れてしまう。

 

ヤマボウシの実

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ヤマボウシは民家の庭に植えられているものをよく見る。6,7月の花の季節は木全体が真っ白になって美しい。街を歩いていて実が成っているのを見かけた。

 

実は直径1.5㎝ぐらいの球形。集合果で、表面のポツポツの一つ一つが雌シベの痕跡である。中は黄色い果肉に種が埋まっている。甘くて食べられるが、知らない人は色と表面の模様のせいで手が出ないだろう。

 

熟すると長い柄ごと地面に落ちる。先日行った箱根の雑木林ではあちこちにこの実が落ちていた。しかし、背が高いせいかどの木かわからなかった。後で調べると箱根は自生のヤマボウシの名所だそうだ。ハナミズキの仲間なので、これからは紅葉がきれいとのこと。

ヒヨドリジョウゴの実

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霧雨の降るなか雑木林の横を歩いていて、草むらで赤い実を見つけた。ヒヨドリジョウゴの実だ。雨に濡れてフレッシュな感じが引き立っている。

 

以前花を紹介したことがある。白い花弁から大きな黄色い雄シベの束が突き出した、典型的なナス科の花の特徴を持っていた。実もそうである。

 

直径8㎜ぐらいと小さいが、実の丸い形や鮮やかな色は同じ科のトマトそっくりだし、艶やかな実の表面の光沢もピーマンやトウガラシなどと共通する。ついでに毒成分を含むところもナス科植物にままあることである。この成分はソラニンといって、よく知られているジャガイモ(これもナス科)の芽の中毒成分と同じである。

 

ヒヨドリが大騒ぎしてついばむので、酔っ払いとかけてヒヨドリ上戸とのこと。それにしては冬まで残っているのを見かける。単なるイメージの問題か。解毒できるのか。はたまたお腹が空いて仕方なく食べて苦しんでいるのをたまたま見られたか。