植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

コヒルガオ

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 道端の草むらの中に、今年もヒルガオが咲きだした。白に近いピンク色で、「地味な花だな…」と思いつつデジカメに収めた。帰宅して画面で見ていると家内が興味を示した。ドラマや映画で「昼顔」が話題であったらしい。

 ヒルガオについて検索してみると、よく似たコヒルガオという種類があることが分かった。全体に小ぶりで、花色も薄い傾向があり、葉の形も微妙に違うそうだ。しかし個体差が大きくて決定的ではないとのこと。そこで花柄(花のついている茎)を拡大してみると、縮れたシワのようなスジ(翼、よく)が見えて、コヒルガオであることが判明した。ヒルガオにこの特徴はない。デジカメは拡大が容易でこんなとき便利である。

 種ができることはまれで、地下茎で増える。そのため草刈りされてもすぐまた伸びてくる。可愛い花ながら立派な雑草である。

ヒメヒオウギズイセン

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 7、8月に咲き、夏の訪れを告げる花の一つである。民家の庭先などによく植えられているが、丈夫でほとんど野生化している。草むらの中の朱色は目立ち、群落になっていると結構見応えがある。

 漢字で姫檜扇水仙。雅(みやび)な名称だが、南アフリカ原産種を基にヨーロッパで作られた園芸種だそうだ。明治期に導入されたため和風の名前になったのであろう。ちょっと長くてくどいのは似た名前の植物が色々あるせいだ。日本に自生するアヤメ科のヒオウギとは近縁であり、スイセンの仲間ではない。

 この花を見ると紅縞瑪瑙(べにしまめのう、サードニクス)という宝石を思い浮かべる。美しいものは半透明で緋色~朱色をしており、花の色とそっくりだ。真夏の太陽との連想からか8月の誕生石の一つである。

ムシトリナデシコ

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 保護色で分かりにくいが、花の上に緑の虫(おそらくショウリョウバッタの幼虫)が2匹も乗っている。ただし、「虫取り」の名前は、このままワシワシ齧るということではなく、茎から粘液が出て虫が付くからだそうだ。消化することはないので食虫植物ではない。

 濃いピンク色が絵になるのか、ネットで画像が多数あげられていた。ヨーロッパ原産の幕末からの帰化植物で、以前紹介したシロバナマンテマの近縁である。花の中央のフリルのような飾りがカワイイ。

 撮影したのは多摩丘陵を公園化した都立の緑地である。この植物は、新しく整地されたような場所にいち早く入り込む。雑木林を切り開いた草地は、このような「侵入種」の雑草に覆いつくされている。里山の固有種はそれらに埋もれてかろうじて残っているにすぎない。公園整備は歩道と道しるべ、木柵ぐらいで充分だと思う。絶滅(危惧)種を増やしては元も子もない。

ネジバナ

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 ランの仲間は花が独特の精巧なカタチをしている。その色調も相まって神秘的ですらある。この植物も極小バージョンながら拡大するとナマイキに「ランの花」である。

 地面に着いた小さな葉の根元から20cmぐらいの花穂が一本伸び、多数の小さな花がラセン状に付く。一直線に並ぶと倒れてしまうので、自然にラセン状になるという説がある。たまたま右巻きと左巻きがくっついて咲いていたので接写してみた。

 昔、初めて見たのは日当たりのよい芝生だった。このピンクの小さな花が混じって咲いているとなかなか良い感じで、「芝生屋も粋なことをする。」と思った記憶がある。それが今やちょっとした空地などには必ず生えている。誰かが種を蒔いたわけではないようだ。長い花穂が風に揺れて種を振りまくのだろう。

インゲンマメの花

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 花芽が伸びてきて次々と咲き続ける。新しい花が咲くと前の花が黄色くなる。今後は実が急速に伸びてくるので、収穫が楽しみである。

 子供の頃、サヤインゲンのゴマ和えを母がよく作ってくれたが、美味しいとは思えなかった。何故味のないサヤを食べなければいけない、というわけだ。

 最近考えが変わった。美味しいと思うインゲンに出会ったからである。栽培は特別なことはしない。市販の種を使い、土に堆肥をたくさん入れてよく耕し、肥料や農薬は原則的に与えないだけである。マメ科植物は根に根粒菌という菌が共生していて空気中の窒素を栄養にできる。

 スーパーで売っているものは、大きくて緑色が濃くキレイである。私は窒素肥料や農薬で見た目を良くしているだけとにらんでいる。その結果クセが強くてスジっぽい実になる。美味しいインゲンは緑が薄い。そしてクセが無く適度な歯ごたえでほのかな甘みと旨みを感じさせる。

ピーマンの花

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 ピーマンは身近な野菜だが、その花は意外と知らないものだ。小さな白い花で、下を向いているので目立たない。拡大するとこんな感じ。

 夏野菜に多いナス科だ。花弁は5~7枚で、紫色の雄シベが突き出している。ちなみにトウガラシやシシトウの花とはそっくりで見分けがつかない。植物学的には全て同じなのだそうだ。つまり同じ植物の中で、辛いのがトウガラシ。大型で辛くないのがピーマンなど、というわけだ。なお、ピーマンは放っておくと赤くなる。そうなるとパプリカとは実の厚みぐらいしか差が無い。

 子供の頃は嫌いな野菜の代表だった。あの青臭いような独特の匂いや苦みは昔より減ったような気がする。味は栽培条件でも変動し、理想的な環境で育てると甘くて癖が少なくおいしくなる。そんなピーマンを頂いたことがある。

ヤブカンゾウ

 

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 例年、水田の周辺や川沿いの土手などの草原(くさはら)に夏草に混じって咲く。そろそろ季節だと思い、多摩丘陵の谷水田の周囲を探した。まだ時期が早いのかなかなか見つからず、ようやく道路際で咲いているのを見つけた。一日花だが、ツボミが多数ついておりずっと咲き続ける。

 雄シベ雌シベが花びらに変わった八重咲きである。中央部に雄シベが変化した名残が見られる。そのためグチャグチャした花だなあと思っていた。キスゲノカンゾウの仲間にしてはあまり清楚な感じがしない。

 しかし、今回よく見てみると花びらのヨレ方とビロードみたいな質感がユニークで面白いと感じた。朱色の花が和風のテイストで、田植えの終わった水田によく映えると思う。