植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ガクアジサイ(その2)

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 小雨模様の相模原北公園にアジサイの花を観に行った。近場では一番種類が多く(200種!)、今咲きそろっている。「アナベルの洪水」と私が勝手に名づけているものなど、色々と見どころがある。お勧めデス。

 先にガクアジサイの話で、華やかに目立つ外周の装飾花に対して、中央の両性花が地味で注目されない、と述べた。しかし種ができるという意味で、両性花の方が花の本体である。そこで両性花を接写して拡大してみると上の画像のような感じになった。

 透明な花びらが紫と緑の蛍光を発しているように見える。何とも幻想的な光景である。この色の感じ、どこかで見たことがある。うーむ…オパールかな?

 

アナベルの洪水」アナベルは白い大型のアジサイの名前

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ムラサキツユクサ

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 6月初旬から民家の庭などでこの花を見るようになった。次々と咲き続け、今は実をたくさんつけている。 日本に自生するツユクサを改良した園芸種かと思っていたが、北アメリカ原産である。結構見栄えするので、花壇などで使われて大いに広まったそうである。今や街の至る所で見る。

 花弁が三枚で、全体が三角形であるのが珍しい。雄シベは六本でよく見ると細かい毛がたくさん生えている。濃い青紫の花弁が梅雨空に映えて美しい。黄色い葯(やく、花粉の袋)がアクセントになっている。

 ちなみにツユクサも花弁は3枚だが、下向きの1枚が白くて小さく2枚に見える。こちらは、これからの時期大いに繁茂するので立派な雑草である。草取りの時びっくりするくらい大きくなっており、抜くのに往生する。

 また、花の形はそっくりだが純白の、トキワツユクサという種類を見たことがある。ちょうど雨模様で薄暗い林の中でボウッと光っていて、すこし気味が悪かった。ツユクサにはどこか不気味な面もあると思う。

 ツユクサの仲間は早朝に咲き始めて昼にはしぼむ。「露草」の名は夏草に降りる朝露のイメージからきているのであろう。

 

ガクアジサイ

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 花びらに見えるのは萼(ガク)である。周囲のガクのみからなっている花は種はできず、装飾花と呼ばれる。一方、中央部には小さな両性花(雄シベ雌シベを備えていて、種ができる)が密集している。この装飾花が額縁(がくぶち)に見立てられ、額アジサイと言うのが名前の由来とのこと。萼アジサイではない。

 日本原産で、野山に自生している。普通のアジサイはこれを原種とする園芸種である。考えてみればガクばかりの花に自然の状態で種はできない。

 両性花は基本的に4枚のガクの他に、5枚の花弁、10本の雄シベ、および1本の雌シベからなるという。しかし、この花の場合は拡大してみると数が足りないものが多く、一部退化しているようである。

 そういえば子供の頃古い家では、アジサイは庭の隅のトイレの近くなどに植えられていた記憶がある。そのためどうも暗い印象であった。最近までそうだったように思う。

 ところが欧米人の感性(かんせい)は違っていたようである。幕末にシーボルトらが欧州に持ち帰ってから改良され、学名からハイドランジアHydrangeaと呼ばれて様々な品種ができた。

 最近多種多様なアジサイの花を見るが、園芸種が逆輸入されたのであろう。独特の色合いや花の形は見ていて楽しいし、庭先の鉢植えなどは、その家の人のセンスが光るものである。ちなみに有毒だそうだ。和食の飾りに使われているものを食べてはいけない。

ブタナと空き地

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 カワイイ見た目に対して気の毒な名前だ。他にヘク〇カズラやオオイヌノフグ〇などもそうだ。(字ズラがちょっとナニなので、一部伏せ字)原産地のフランスで「ブタのサラダ」と言っていたものをそのまま訳したようだ。英語ではcat’s ear ネコの耳という。葉に毛が生えていて形が似ているとのことだが、そうかなあ…。和名の別名は「タンポポモドキ」。これもそのマンマで身もフタもない。どうも名前に恵まれない植物である。

 

 大体誰が植物の名をつけるのだろう?「タンポポ」などは訳が分からない名だが、ほのぼのした感じがぴったりである。牧野富太郎は自分が見つけた多くの新種に(ちょっと変な)名前を付けたそうだ。(ハキ〇メギクなど。)

 

 地面についた葉から直接花柄が伸びて、タンポポそっくりの花をつける。春から夏にかけてずっと咲き続ける。そのため多くが綿毛に変わっている。タンポポは葉などが黄緑色なのに対し青緑色がかっている。また花に対して花柄(茎)が長い。そのため遠目にも間違えることはないと思う。

 

  4,5年前までは近場ではめずらしかった。あっという間に広がって、今や至る所に生えている。画像のように空地全体に広がった光景はけっこう美しいが、身近な景色が変わってきたと感じるのは私だけだろうか。

梅雨入りとホタル

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                          (開成町 2018.6.12)

 南関東は梅雨入りしたようである。梅雨時の花と言えばアジサイタチアオイだ。これらを見ているとうっとうしい雨や蒸し暑さも浄化されるようで気持ちよく感じる。

 もう一つ、今の時期にだけ現れるのがホタルだ。梅雨入りの発表があった前日の夜に、近場の横浜市四季の森公園に観に行った。さすがに県立公園で歩道が広くてよく整備されており、灯りが無くてもどんどん歩ける。目が慣れてくると、薄曇りの空への街の光の反射だけで周囲の様子が見え、人とぶつかることもない。

 昔ながらの里山谷戸は木が鬱蒼としていて暗闇が濃く、夜7時半ごろから蛍の光を見ることができた。林のあちこちで木にとまったり、「ゆーっくり」という感じで飛びながら光っていたり…。見事なものを見た時「お、おー!」と言って称賛するが、心の中で小さく「おー!」と拍手した。昨年よりホタルが増えているようでうれしかった。

 

 眼の前にも飛んできた。愛用のコンパクトデジカメで撮れるか試してみようと思ったがやめた。撮影の時スマホのように光ってしまう。ホタルが光るのは雌雄の交信のためだそうである。邪魔をしてはいけないし、マナーにも反する。

ナガミヒナゲシの実

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 キキョウソウの周囲に、ナガミヒナゲシの枯れた花穂がたくさん風に揺れていた。ついこの間までオレンジ色の花が咲き誇っていたのに、今はもう白っぽく枯れている。奇妙な形で、ちょっとシュールな眺めである。

 実が細長いところが園芸種のヒナゲシとの違いであり、名前の由来だ。実の先が断ち切られたようになっていて、円盤形のフタのようなものがついている。キューバの民族楽器のコンガみたいな形だ。フタに8~9分割の線が入っているのが面白い。ちなみに、ケシ科だが、麻薬の類は含まれていない。

 この実にはいわゆる「ケシ粒」のような微細な種が1000個以上も入っている。フタの下にすき間があって、揺れると種がこぼれる。

 隣のキキョウソウも、ひょろ長い茎に下の方からズラリと種の入った実が並んでいる。

 どちらも風に揺られることで周囲に広く種を蒔くわけである。ただ無意味に揺れているわけではないのだ。これらの植物が空地にあっという間に広がるメカニズムだ。カワイイ花だが、この抜け目のなさが雑草扱いされる理由でもあろう。

ヒナキキョウソウ

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 キキョウソウを見つけた同じ日に、電車で20分ぐらいの別の場所で似た花を見つけた。繁華な通りに面した放置された更地みたいな場所である。草むらの中で小さな瑠璃色の花が咲いていた。先にキキョウソウを見ていなければ見逃しただろう。

 花は直径1.5cmぐらいで同じくらいの大きさだが、花弁が細くて星形のガクが目立ち、全体に小ぶりに見える。キキョウの仲間らしく爽やかな印象である。

 段々に葉と閉鎖花が付いた40cmぐらいの茎が一本ひょろりと伸びて、先端に一輪だけ上向きに花がついている。花だけが風に揺れている感じである。何本かあったが、全部そうであった。

 ネットで調べると、雑草的に群生しているようなところもあるそうである。近場で見たのは初めてだが、閉鎖花でできた種が周りに蒔かれて、あっという間に増えるかもしれない。