ノギクばかりが続いて恐縮だが、今の時期は他の花が少ないので仕方がない。今回はリュウノウギクだ。近場の野山では一番花が遅い種類である。花に対して葉や茎が小さく華奢だがどっさりと咲く。白花で地味。しかし今頃は葉が紅く色づき独特の風情(ふぜい)を醸し出している。
葉や茎の香りが中国伝来のお香である竜脳(りゅうのう)に似ているというのが名前の由来である。今は空気が冷たいせいか嗅いでもよくわからない。実際にはクスノキから採れる樟脳(しょうのう)に似ており、樟脳の香気成分であるカンファ―が多く含まれるとのこと。
日本固有種で本州を中心に広く分布する。近場の南関東でも野山に普通というが、植物園や公園に植えられていることが多い。私はまだ野生のものを見たことがない。陽だまりに残ったノコンギクなどと見分けがつかず通り過ぎてしまうせいかもしれない。