これも植物園の入り口付近のポットにあったもの。野生のヤマジノギクを大分県で50年以上前から品種改良を繰り返したとのこと。大型で紫色と黄色の花色はキクの仲間としてはユニークで鮮烈な印象を受ける。
聞いたことのない名前だと思ったら、生育北限は東海地方で、近場には自生していない。西日本では普通の種類である。
野生種の花は関東地方の野菊の代表であるノコンギクやヨメナに似ている。しかし一回り大型で草丈も高くなる。野菊の花は舌状花(周囲)と筒状花(中心部)の集合花であり、花びらには冠毛(かんもう)と呼ばれる毛が生えている。ヤマジノギクは舌状花の毛が長く、筒状花のものが短い。全部長いノコンギクや、短いヨメナとの相違点だ。
山路野菊というぐらいで自然のものは淡い色で素朴な印象である。画像の改良種は都会的なセンスでも十分鑑賞に耐えると思う。こういう自然と人間社会との関わり合いも面白い。