これも薬用植物園にあったノギクの一種。近畿地方以西の海岸や日当たりのよい山地に自生する。台湾、中国南部にも分布する南方系の植物である。海岸などに生え初冬まで咲き続けるため、島寒菊というのが名前の由来らしい。
現在の栽培種のキクの原種の一つとされる。そういえば葉の形が普通のキクによく似ている。大昔に中国で南方系と北方系のノギクの自然交配で生まれたと考えられており、日本には平安時代に渡来した。
花期は10~12月。頭花は直径2~2.5㎝で多数付く。普通の小菊にも見えるが、舌状花の花弁が短くて丸っこく稜線があり、ダリアに似ている。舌状花にも筒状化にも冠毛はない。
なぜ薬用植物園にあるかというと、乾燥した花が「キクカ」と呼ばれる生薬(しょうやく)として漢方医療で用いられるから。他の花が枯れ寒さに向かう季節に咲く花として生命力を貰う意味もあるのだろうか。