植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

シュンラン

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春蘭。文字通り早春に花をつけるランの仲間だ。1、2週間前から数枚の薄いさやに覆われた花茎が伸びてきて、もう開花している。これだけ大きい株だと多数の花を付けるのでちょっとゴチャゴチャしている。鑑賞するなら小さな株で花も1~3輪のものが清楚な感じで良い。

 

花が重なっているので分かりにくいが、上と斜め左右に出ている緑色の葉がガクで、花弁は緑色の左右の側弁と、下向きで反り返った白い唇弁(しんべん)からなる。中心にめしべの頭が見えている。唇弁には濃い赤紫色の斑点があり印象的なため別名「ほくろ」ともいう。ド派手な西洋ランと比べると、全く地味だが独特の美を持つ日本のランである。

 

日本全国と中国に自生。ランと聞くと目の色を変えるマニアや業者がいて持ち去られたため減ってしまった。花が緑色で目立たないためか、まだそこそこ見かける。ただし生育地の里山が開発されたり、荒れたりしているので先行きは心配だ。ランの仲間は他の植物や菌類とのデリケートな共生・寄生関係を有しているものが多いので一度なくなると再生は難しい。大切にしたいものだ。