アオイスミレを多摩丘陵で探してみた。近場では一番早く開花するスミレである。陽だまりなどではタチツボスミレも咲き始めており、大きさや花色、葉の形が似ているため近くでもなかなか見分けることが難しい。これはと思うものをひざまずいて確かめることを繰り返した。
意外に早く見つかった。日当たりのよい果樹園の一角である。一旦、目が慣れると、畑の周辺や雑木林の林縁、切通しの斜面などにけっこう多いことが分かった。
一般にスミレの花弁(はなびら)は、上向きの2枚の上弁、横向きの2枚の側弁、下向きの唇弁(しんべん)の計5枚と、後ろ向きの距(きょ、蜜の入った袋状のもの)からなる。アオイスミレは上弁が立ち上がるのに対し、側弁が前に出るか丸まっており、前から見るとウサギかミッキーマウスの顔形のように見える。
タチツボとの違いは、花の形が異なることと、花茎に毛があること、距(きょ)が白くて太く、上に曲がって立ちあがることなどである。葉はタチツボより丸っこく、先がとがったハート形をしている。葉の形が徳川家の家紋である葵(あおい)に似ていることが分かるだろうか。