多摩丘陵の一角、雑木林の林床で奇妙な花を見つけた。足元のネザサの中から10㎝ぐらいの薄緑色の花穂が出ていた。シソ科のように小花が一列に並んでいない。接写して後で調べるとラン科のオオバノトンボソウ(大葉の蜻蛉草)であった。
花は左右1㎝ぐらいで小さい。拡大すると確かにランの特徴があるが、形が変わっている。黄緑色の花柄の先に花の中心部があり、丸いガクがかぶさっている。両側に側弁、下に湾曲した長い舌弁が出ている(弁とは花びらの一片)。何より変わっているのは後方に花の本体より長い距(きょ/袋状になって蜜を溜めた花びら)が伸びていることだ。茶色が掛かったチューブ状で1.5㎝以上ある。
花の中心の二つの茶色い点は雄シベである。この雄シベを目に、両側の側弁を翅に、距をシッポ(腹部)に見立てると、なるほどトンボだ。もう、そうとしか見えなくなる。
多摩丘陵関係のHPで存在は知っていたが、見るのは初めてである。よほど目を凝らして探さないとわからない。出会えてラッキーだ。