相模川の河原、厚木市のあゆみ橋付近。大小の石がごろごろしている。その中に紫がかった灰黒色で、ぼやけた白っぽい斑点がありそこが少し凹んでいる石がある。硬くてあまり削れておらずごつごつ角張っている一方で、手触りはすべすべしている。画像の左側は割った新鮮な面である。黒地に点々と光る結晶が見える。
ホルンフェルスはドイツ語で「硬い岩石」を意味する。泥岩などがマグマに接触して超高温で焼かれた結果、焼物のように緻密で硬くなり、一部溶けて新たな鉱物の結晶が生じた変成岩である。丹沢山地の中央部にはマグマが冷えた石英閃緑岩やトーナル岩の岩体があり、その周辺にあった凝灰岩などから由来する。小さな菫青石(きんせいせき)の結晶が新たに生じているようである。表面は菫青石が風化して雲母に変わり、簡単に剥がれるため小さな凹みになる。
風化や浸食に強く、丹沢山地の稜線部はこの岩石である場合が多い。相当長距離を流れてきたものと思われるが、硬いため削れて無くならない。これは、丹沢衝突後の500万年前のマグマ貫入の名残である。
全国的に有名なのは京都府亀岡市のもので、泥岩由来である。黒い地に6角形断面で長柱状の菫青石の結晶が光る。下の画像はだいぶ以前に現地を訪れた時、道路工事現場で拾ったものだ。一部は菫青石がさらに雲母などに変化しており、白っぽい花びらのようになったものは桜石と呼ばれる。