ケヤキの樹皮に着生していた。指摘されないと樹皮がちょっと緑色になっているようにしか見えない、小さなコケだ。神奈川県立四季の森公園で、里山研究会の観察会に参加して教えていただいたものである。
コケは独特のみずみずしい緑色と柔らかい感触が昔から好きだ。スギゴケの仲間は頭にサクという丸っこい胞子嚢をつける。これには帽子のようなフタがついていて、熟すと外れて中から芥子粒のような胞子が出てくる。子供の頃、つついて遊んだ覚えがある。
このコケは眼を凝らしてみると、全体が卵を立てたような形で、筋のあるニット帽のようなフタをつけていることわかる。今の時期は乾燥しているので丸まっているが、温かい季節はもう少し葉(?)を広げているようだ。名前は、「立ち」上がって「襞(ひだ)」のある帽子をつけることから立襞苔とのこと。別名コダマゴケ(小玉苔)。
極小ながら見れば見るほど愛嬌のある造形である。こういう世界もあるんだなと再認識した。