植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ツルボの群生

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多摩丘陵にある神社の参道脇。そろそろ秋祭りなので草刈りがされ日当たりが良くなった斜面に、ツルボが群生して花を付けていた。桜並木があり陰になるせいか、普通のものよりヒョロリとしてやや斜めになっている。

 

この画像は9月初めのものでまだ咲き始めだ。花穂は下の方から咲き上がり、現在は先端まで達している。草丈も伸びて30㎝ぐらい。結構長く楽しめる。この薄赤紫の花は何度見ても可憐である。

 

ヒアシンスなどと同じキジカクシ科で、日本と東アジアに自生。球根を持ち毎年同じところから芽を出す。街中や新しい住宅地では見たことがないので、一度開発されてしまうともう生えないのかもしれない。

 

名前の由来は不明とのこと。思うに、「ボ」は印象的な花の穂(ほ)からきているのは間違いないだろう。「ツル」の方は群生する様(さま)から「連れ(つれ)」が訛ったという説がもっともらしい。

フェンスのマルバルコウ

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8月後半から夏草の中にチラホラ見えていた赤朱色の花。住宅地の河川沿いの長い網フェンスをツルが這い上がったと思ったら、いっぱいに広がり、今頃になって大量に花を付けた。径1.5㎝ぐらいの小さな花だが遊歩道を歩いているとなかなか見ごたえがある。拡大するとアサガオの仲間独特の輝くような花色がよくわかる。

 

ネットで検索するといきなり国立環境研究所の記事が出た。侵入生物データベースに該当する。北アメリカ原産のヒルガオ科植物。江戸時代末期に観賞用に導入されたものが各地に帰化している。繁殖力がハンパなく、在来種の植物や農作物に悪影響とのこと。特定の害虫の棲み処にもなる。分布が中部地方以南になっているが、近場(南関東)で普通に見られるのは温暖化の影響か。駆除の対象にするのはもう手遅れのような気がする。

 

まだ暑いが、秋の気配が漂う街に似合っている。

シマスズメノヒエ

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マンションや民家が続く住宅地を流れる川。護岸はコンクリートで固められ両側が広い歩道になっている。日当たりが良く様々な植物が見られる。クルマが通らず人通りもソコソコなので時々立ち止まって観察しても大丈夫だ。このところ路傍の雑草ばかりなのはそのせいである。

 

先に夏草の中で目立つものとして外来種のタチスズメノヒエを紹介した。では在来種のスズメノヒエはあるのか。探してみるとすぐ見つかった。草丈は1mぐらい。長い穂(ほ)を伸ばして先に180°食い違った花(小穂、しょうすい)の総(ふさ、5㎝ぐらい。)を3本付けている。たまに4本以上のものもある。しかしよく見ると花粉?が黒いぞ。ということで詳しく観察してみた。

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結論として南アメリカ原産のシマスズメノヒエであった。アルゼンチンの大草原パンパに多いそうである。花に付いている黒いものは雌シベの柱頭(ちゅうとう、先端の毛のようなもの。花粉を受け取る。)と雄シベの葯(やく。花粉の袋。)だ。それに対してスズメノヒエは黄色っぽい。よく見えないが花(小穂)に毛があるのもスズメノヒエとの違いである。

 

花は横から見ると下が尖った円形である。それが総(ふさ)で2列に並んでいて上から見るとちょうどジッパーのように見える。これが縞(シマ)模様に見えるとか、日本で最初に見つかったのが小笠原諸島で島(シマ)、とかいうのが名前の由来である。

 

それにしても日本在来種のスズメノヒエはどこに行けば出会えるのだろうか。

ジュズダマ

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ハス池のたもとに生えていたもの。川辺などの湿地を好むようだ。先端に穴の開いた独特の丸い実は、子供の頃投げて遊んだものだ。スベスベした感触で、何かにぶつけるとカチンと音がするぐらい硬い。穴を貫通させて糸で繋ごうとしたがうまくいかなかった。

 

熱帯アジア原産のイネ科植物。球状の実は雌シベを包む殻(カラ)で、難しく言うと苞葉鞘(ほうようしょう)というものである。先端の穴から雌シベの先と雄シベの穂が突き出ている。黄色や赤茶色のものは雄シベの葯(やく、花粉の袋)だ。

 

花が成熟すると、殻から雄シベの穂が取れて黄色から黒っぽくなる。径7㎜くらいのまさに法事で使う数珠(ジュズ)の球の形をしている。川辺にあるものは水に落ちて浮き、水流により運ばれて分布を広げる。硬い殻を石で叩き潰すと白い粉(でんぷん)が出てきた記憶がある。

 

ちなみに健康茶に入っているハトムギジュズダマの栽培種で、殻が柔らかく、実の付き方も多い。

ソクズの花と蜜腺

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今頃の野草は繁茂するばかりで、興味を惹かれるものに出会うことはほとんどない。あっても地味な白い色の花が多い。と言いつつまた白い花である…。

 

多摩丘陵の人家近くの空き地に7月頃からこの花が咲き続けていた。草丈は1.5m以上あり群落になっている。夏草の間では目立つので気にはなっていたが、どれも似たり寄ったりのセリ科植物の感じがしたのでスルーしていた。最近改めて調べると、ソクズという初めて名前を聞く植物だったので細かく観察してみた。

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花は径4㎜ぐらいの白い花弁が五つに裂け、花弁と交差するように5本の雄シベが配置している。この花にミツはなく、同じぐらいの大きさの黄色い蜜腺(腺体)が独立して付いている。面白いのは形と色がまさに蜜壺【🍯】であることだ。クマのプーさんに出てくるアレだ。蜂や蝶はそんなことを知るわけも無いのに寄ってくる。不思議なことだ。

 

本州以南に分布。少し前の図鑑ではスイカズラ科となっているが、最新の分類ではガマズミ科に入っている。秋にガマズミに似た紅い実が成る。薬効が知られており、名前の由来は諸説あるが、漢方薬としての難しい漢字の読みが訛ったらしい。昔よく庭に植えられていたニワトコに似ているのでクサニワトコともいう。

マツカゼソウの複葉

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前回複葉の話が出たので思い出したのがこの植物だ。山地の林縁に自生するミカン科の多年草で、松風草という風流な名前が付いている。

 

コボタンヅルの葉は3x3=9枚の小葉からなる(2回3出)が、この草はさらに3倍の27枚で1枚の葉(3回3出)を構成している。羽状複葉と呼ばれる葉は、葉柄を含めて12㎝ぐらいもある。

 

画像では重なり合っていてわかりにくいが、よく見ると3枚ずつの繰り返しとそれが3組あること。さらに大きく3つに分かれる全体の葉の形が見えてくる。明るい色の部分は新しい葉で、一枚の葉が大きいので、マダラに木漏れ日が当たっているように見えるのが面白い。

 

なお、上の画像は5月24日のもので、現在は下のような小さな花を付けている。直径4㎜ぐらいで花弁は4枚である。

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コボタンヅル(小牡丹蔓)

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前回のアキカラマツに絡まっていたつる植物。花は付けていたが、以前紹介した同じキンポウゲ科のボタンヅルだと思ってスルーしていた。しかしどうも全体の感じが異なる。そこで調べてみるとコボタンヅルという変種であった。

 

日本から中国まで山地の林縁などに分布。園芸種クレマチスの親戚にあたる。変種といっても特に珍しいものではなく、名前のように小さいわけでもない(花の径2㎝弱)。花もちょっと見ただけでは見分けがつかない。ただボタンヅルよりスッキリして優しい印象を受けた。

 

一番の違いは葉である。複数の小葉(しょうよう)からなる葉を複葉(ふくよう)というが、コボタンヅルは3枚の小葉がさらに3組ずつに分かれた合計9枚からなる2回3出葉というタイプである。一方ボタンヅルは3枚の小葉からなる(1回3出葉)。画像に見える葉で確かめていただきたい。それぞれの小葉の形が微妙に異なるのが面白い。

 

なお、下の方の花に写り込んでいる虫はミドリバエというハエの仲間である。背中と腹がメタリックな緑色で虹色を帯びており、花のミツを食べている。普通のハエのイメージではない。自然のものを観察していると意外な出会いがあるのが楽しい。