植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

クリスマスローズ

ビルの谷間の公園にある築山のようなところに植えられていたもの。葉ばかり茂ってクリスマスにも花が咲かない。変だなと思っていると、いつの間にか葉が黄変して枯れるとともに、中心部に新しい葉が出て花が咲いている。地面すれすれで俯いてはいるが、薄緑の花はなかなか見ごたえがある。

 

この仲間は学名からヘレボルスと総称される。花期は本来1月~3月。一部の12月に咲く種類がクリスマスローズと呼ばれたとのこと。日本ではいつの間にか一般名になっている。寒風吹きすさぶ1月の花として、ロウバイなどとともに貴重である。

 

ヨーロッパから西アジア原産のキンポウゲ科。この科の例にもれず、花びらに見えるのは萼片(がくへん)である。そのためすぐ萎れず鑑賞期間が長い。各種の園芸種が作出されており、花色も白から赤、黒まである。最近は特に華やかなものが多いようだ。ただしやはり有毒成分を含む。

ハンノキの花芽

丘陵地の斜面で見つけた奇妙な木。赤黒いチューブ状のものを無数に付けており全体が黒く見える。冬枯れの木々の中では異様である。よく見ると昨年の丸い実が残っていてハンノキ(カバノキ科)の仲間と分かった。湿地を好むハンノキと違って、乾燥したところに生えており、樹皮が赤っぽく皮目が目立つことからヤマハンノキという亜種と考えられる。葉の形で見分けられるが、今は皆落ちてしまっている。

 

雌雄異花で、下向きに付いている細長いものは雄花のつぼみだ。咲くと伸びて垂れ下がり黄色い雄シベを出す。雌花は現時点でははっきりしないが、雄花の根元あたりの小さな芽がそうだ。そのうち球状に膨らんで実になる。

 

どうもこの花芽は軟体動物のようで気持ちが悪い。私はハンノキの花粉にアレルギーがあるのでなおさら印象が悪い。

 

 

中空土偶

冬晴れの某日、東京都町田市の考古資料館を訪れた。うれしいことにガラス越しだが撮影可だ。目玉は縄文時代後期(約3300年前)の中空土偶(ちゅうくうどぐう)頭部である。多摩丘陵の一角の田端東遺跡の集団墓から出土したもので、近くにはストーンサークルもある。

 

思ったより小さくLサイズのミカンぐらいの大きさだ。素朴なつくりのものが多い土偶としては内部が中空のものは珍しく、薄造りで精巧なものだ。眉から鼻にかけてのY字型の隆起、コーヒー豆型の目、分厚い唇に力がみなぎっている。そして何より特徴的なのは2本に束ねられた独特の髪型である。穴には鳥の羽根でも差したのであろうか。顔の側面にある線は入れ墨のようだ。見ていると色々な考えが浮かんでくる。

 

以前上野での縄文展で、北海道函館市出土の中空土偶と似ていることが指摘されていた。調べると確かにそっくりだ。向こうのものは高さ40㎝ぐらいの全身像で土偶としては大きいが、頭の2本の髪型の部分は欠けている。我々の祖先、縄文人の美意識と土器の成型・焼成技術の高さを示すものとして国宝に指定されている。こちらのものとはどういう関係にあるのか、興味は尽きない。

コガモたちのアイドル

いつもの川。例によってコガモたちが集まって朝からワイワイやっている。まだ寝ているものもいるが、流れに首を突っ込んで食事中のようだ。その中に水面をクルクル泳ぎ回っている集団がいる。そこだけ他と動きが違う。

 

画像ではうまく撮れなかったが、5,6羽が一方向に径2mぐらいの円を描くように泳いでいる。バラけて、すぐまたまとまることを繰り返している。派手な模様から見て全員オスだ。近くまで来るとチッチッという高音の鳴き声がいくつも聞こえる。そして中心にいるのは一羽のメス。茶系統の地味な羽色をしている。あまり泳がず、方向を変えるだけだ。時々クワ―と声を出す。…何をしているのだろう。

 

普段はオスメス一緒にいても互いに無関心で、群れとして行動している感じなのだが、今回は意識しているように見える。偶然ではないだろう。人間界で言えば、ジャニーズのグループが一人のファンの女の子の周りを歌いながらまわっているような…。本当に飽きない連中だ

ユリカモメ

正月も3日。天気も良いし急に海が見たくなって横浜みなとみらい地区の臨港パークにやってきた。一応近場である。途中のビル街は閑散としていたが、埠頭まで来ると海を眺めたり、散歩したりする人が結構いる。広々として明るくて気持ちが良い。

 

海の向こうにはベイブリッジの全体が眺められる。座ってボーッと見ていたら、近くの歩道にカモメが集まってきた。波間に浮かんでいたものが次々と岸壁に飛来してくる。何か食べ物でも見つけたようだがよくわからない。ほとんど人を恐れるような様子はない。

 

観察すると白い身体に羽根は灰色。先端に黒い縁取りがある。眼の後ろと上の黒点が特徴的。ユリカモメである。近場(南関東)のカモメの大部分はこの鳥だ。年中見かけるような気がするが、これもシベリアなどから渡ってくる冬鳥だ。海辺だけでなく、かなり内陸の川でも見かけることがある。

 

下の画像は臨港パークに多いクスノキ。暖地性の木で、ツヤのある常緑の葉が公園の風景に似合う。ちょうど青黒い実をいっぱいつけていた。なお背景に見えるのは横浜ランドマークタワーだ。

都市河川のカモ

マガモのいた川で見かけたカモの仲間2種。やはり北で繁殖して秋冬に飛来する冬鳥で、習性も似ている。いずれも2~3羽で水面を行ったり来たりして泳いでいる。

 

ヒドリガモ(画像上) 手前♂、奥♀。画像でははっきりしないが、他のカモ類に比べて身体全体が赤っぽく、赤い鳥という意味で「緋鳥(ひどり)」と呼ばれていたことが名前の由来である。オスは頭から胸にかけて明るい赤茶色で、額から頭頂にかけて黄色。羽根の一部が白いのが目立つ。メスは全体に茶色っぽく目立たない。

 

オカヨシガモ(画像下) 手前♂、奥♀。オスは頭が茶色で身体は灰色っぽい。お尻のあたりの上下の黒い模様が目立つ。類縁にヨシガモという種類がおり、川や内湾などヨシ(葦)の生えているところにいるカモという意味。より陸に近いところにいるヨシガモで丘葦鴨というのが名前の由来とのこと。メスは他の種類と見分けにくいが、クチバシが黒くて周囲がオレンジ色なのが特徴的である。

カモ類はよく見ると羽根に色違いのパッチワークのような複雑な模様がある。見ていると実に美しいと思う。だが細部を見るにはもう私のデジカメのズームでは限界である。いよいよデジタル一眼カメラと望遠レンズが欲しくなってきた。

 

マガモのカップル

少し前にオオバン(鳥)を見た都市河川。沿道を逆コースで下ってみた。晴れて寒いが正月で空気が澄んでおり、歩くと気持ちが良い。すぐ目に入ってきたのがマガモである。画像ではオスメス寄り添って泳いでいるが、じつは一緒にいたのはオス1羽とメス2羽で、どういう関係かわからない。

 

夏場に北海道以北シベリアなどで繁殖し、秋冬に本州以南に飛来する冬鳥である。オスは頭が緑色の光沢がある黒色で、光線の加減で青く見えることもある。クチバシは黄色。身体は全体に白っぽく胸から背中にかけて紫がかった褐色のため白い首輪があるように見える。一方メスは薄い茶色に黒褐色のうろこ状の模様がある。クチバシは黒くオレンジ色の縁取りがある。カルガモによく似ているが目の周りの隈取りのような線が薄く、羽の模様も目が細かいようである。

 

真鴨というくらいで普通のカモだが、近場ではあまり見かけない。他のカモ類と同じように水面を泳ぐのは得意だが、潜るのはうまくない。水中に首を突っ込んで水草や貝などを食べる。家禽に改良された品種がアヒルで、それと掛け合わせたものがアイガモである。外見は異なるが三者は生物学的には同じものとのこと。