植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

タマムシ

雨上がり。山道の林縁で花を探していたらタマムシがいた。ハキダメギクにとまってじっとしている。メタリックな輝きのグリーンに濃い赤の墨と筆で2本太い線を引いたような模様は、思わず見とれてしまう。子供のころは身近にたくさんいたような覚えがある。近場ではすっかり珍しくなった。

 

和名はヤマトタマムシタマムシ科は日本に多くの種類がいるがもっとも普通のものである。成虫はエノキなどの木の葉を食べるらしい。また、幼虫はカミキリムシのように様々な木の中でトンネルを作って暮らしている。もちろん果樹につくと害虫になる。

 

名前の由来は玉(宝石)のように美しいことから。金属的で虹色の輝きは角度により変化する。こういうものを天敵の鳥が嫌うので防御になっている。田んぼの鳥よけのテープに風に揺れてキラキラするものがあるが、同じ原理が使われている。

ハグロソウ

先日キツネノマゴについて書いた。日本では珍しい種類と思っていたが、都市近郊の低山を歩いていて早速その仲間に出会った。

 

同じように花びらは2枚で、色合いは白地に赤紫色。模様はよく似ている。しかし、花は上下2㎝ぐらいと目を引く大きさである。2枚の苞(ほう、ガクのようなもの)の間から花びらが出て反りかえる。日本では花びらが2枚の植物は少ないかもしれない。ツユクサは2枚だが本来は3枚で、退化した1枚が下向きについている。

 

キツネノマゴ科の1年草。関東地方以西の山林や林縁の半日陰に自生する。名前は「葉黒草」と書き葉の色に由来する。画像では葉が若いせいか明るい色だが、濃い緑色で、確かに木陰など薄暗いところで見ると黒く見える。それだけにポツポツと咲いた白っぽい花が際立つ。

キツネノマゴ(狐の孫)

9月に入った。数日天気が悪く低温の日があったが、また蒸し暑さが戻ったようだ。今頃咲いているのがこの花だ。場所は公園の林縁。草丈は20㎝ぐらい、花の大きさは5、6㎜である。小柄で地味なので注意して見ないと通り過ぎてしまう。

 

近づいて見ると、ピンクの模様が入った白い花と明るい葉の色がカワイイ。この植物に出会うのはいつも夏の終わりごろのような気がする。夏草と秋の花の端境期で他に目立つものが少ないせいかもしれない。

 

キツネノマゴ科というものがあり、世界的には結構派手な仲間がいる。ただ、ガガイモ科と同じで、日本のものは何故か小さくて地味になってしまう。花穂がフワッとした毛におおわれており、花が終わった後黄褐色に変わる。これが小さいキツネのシッポに似ている(と思う)。

道端のガガイモ

いつもの川沿いの道は端が30㎝程舗装されておらず、日当たりが良いので様々な植物がみられる。一部は沿道の民家の花壇になっていたりするが、今はイネ科の雑草やヨモギなどが茂っている。ヒメジョオンの花が目立つ中で、ちょっと変わった白い花に気が付いた。

 

奇妙な名前だがキョウチクトウ科一年草である、10個以上の花とつぼみが塊を作っている。五裂した花の直径は1㎝ぐらい。よく見ると薄紫の模様があり白いモールのような毛におおわれている。つる性だが絡みつく雑草の丈が低いため草に埋もれるように伸びている。葉は細長いハート形でヘクソカズラのものに似ている。住宅地の真ん中の道端でこういうものを見つけると嬉しくなってしまう。

 

日本及び東アジアに分布。以前はガガイモ科として独立していた。調べてみると旧ガガイモ科は世界的に種類が豊富で、多肉植物のタイプは奇想天外な花や姿かたちのものが多い。一度検索してみられることをお勧めする。

オモダカの花

相模川沿いに田園が続く地帯がある。稲が穂を出しており、周囲の空気に秋の気配を感じる。水田に目立った雑草は見られない。歩いていると水面から伸びている変わった形の葉を見つけた。カワイイ花を付けており、白い花弁は三枚で径約2㎝。オモダカである。

 

オモダカ科の水生植物。日本各地の湿地などに分布する。雌雄別花で、花茎の先の方に雄花、根元の方に雌花が付く。雄花の中心部はオレンジ色の雄シベであり、雌シベは緑色の団子のような子房が付いている。緑色のボールのような実になっているものもある。

 

逆Y(わい)字形で先端が鋭く尖った葉は独特である。もう少し幅が広かったように思うが、ここのものは幅が細く鋭い刃物を思わせる。この形が矢の先につける鏃(やじり)に似ているので、別名「勝ち草」とも呼ばれ、図案化した家紋は戦国大名に広く使われた。

 

水田の周辺を探すと結構生えている。触れば切れるような感じの葉と可憐な花。見ていて飽きない植物である。

ミツバオオハンゴンソウ

郊外の民家の庭の一角がこの花でいっぱいになっていた。花壇にも植えられるが強壮で一部野生化している。北アメリカ原産のキク科である。この仲間(ルドベキア)はいくつか種類があり、いずれも中央の筒状花が丸く盛り上がっているのが特徴。横から見るとそれがよくわかる。日食の時の太陽のようで夏らしくて良いと思う。

 

類縁のオオハンゴンソウやハンゴンソウは中央部分の色や花弁(舌状花)の形が異なり見分けるのは難しくない。この種類は下部の葉が三裂しており、舌状花の数が10枚程度と少なく、中心部が黒っぽいのが特徴である。

 

漢字で三つ葉大反魂草と書かれる。反魂とは生き返らせるという意味で大層な名前だが、その由来をネットで調べても諸説ありよくわからない。中国の生き返りの秘薬になる別の薬草と間違えた、という説はおもしろい。

アレチハナガサ

荒地花笠。以前紹介したヤナギハナガサ(柳花笠)は小さな赤紫の花が傘状の大きな花序を作り、花壇に植えられるような見ごたえのある花であった。類縁のこの花は、花の直径は3mmくらいで筒状の花弁が五裂する。草丈こそ1.5mぐらいと大きくなり盛大に分岐するが、花序は小さく花もまばら。花色も薄赤紫で遠目には白く見える。ただ近くに寄ってみると薄紫の五芒星(ごぼうせい)のように見えてなかなか味がある。

 

撮影したのは相模川の河川敷でいかにも「荒地」といった環境である。今の時期は他の花が少なく地味ながら目立っていた。なお気を付けていると街中の道端でも結構見かける。

 

南アメリカ原産の帰化植物。日本では珍しいクマツヅラ科。何種類か亜種があるが、花序や葉の形の差が微妙である。とりあえずアレチとしておく。