植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

やたら見るシンテッポウユリ

f:id:M_majipan:20210817172232j:plain

駅で線路沿いに咲くシンテッポウユリを紹介したが、その後街中でやたら見かけるようになった。昨年は今頃外を出歩かなかったのでわからないが、急に増えたように思う。

 

台湾原産のタカサゴユリと、南日本に自生するテッポウユリの交配種である。前者から8月中旬~9月初旬の遅い花期を、後者からは純白の花色を引き継いでいる。本家のテッポウユリとは花は見分けがつかないが、花期が異なるのと、葉が細いところが違う。

 

増えてきた原因は、思うに気候温暖化で南方系の出自が幸いしたことと、きれいで見ごたえがあるので誰も抜こうとしないせいではあるまいか。定義上は立派な侵入種であるが、白いユリを雑草と思う人はいないだろう。野生化している園芸種のヒメヒオウギズイセンや、中国原産の外来種セリバヒエンソウが増えてきているのと同じ状況だ。

 

種を大量に付けることと、成長の早さもタカサゴユリから受け継いでいる。そのうち街中で群落がみられるのではないか。日本在来種のユリ類とは花期が重複せず、今のところ生息場所を奪ったり、交雑して在来種を危機に陥れたりはしないようだ。

線路のユリ

f:id:M_majipan:20210812135425j:plain

駅で電車を待っていたら線路際の白いユリの花に気づいた。テッポウユリ?いや、花期(4-6月)が違う。シンテッポウユリ(新鉄砲百合)だと思う。台湾原産のタカサゴユリと南日本で自生するテッポウユリの交配種で、園芸用が逃げ出して野生化している。

 

ユリ科では珍しく種を作る。種には翼(よく)があって周りにふりまかれる。線路際に点々と咲いているのは電車の風に飛ばされて広がったものだろう。

 

ちなみに画面手前はセイタカアワダチソウ、後ろにススキ。花はもう少し先である。地面で紅葉しているのはドクダミだ。駅にありがちな植物のラインナップである。ここはあと1か月ほどすると突然ヒガンバナの花が伸びてくる。

真夏の黒い花

f:id:M_majipan:20210811182341j:plain

シュロソウの花だ。実際は画像のように濃赤紫だが、生えているのが暗い雑木林の地面なので遠目には黒く見える。拡大すると6枚の花弁が二重の色彩でなかなか良い。黄色い雄シベがアクセントになっている。

 

シュロソウ科。少し前の資料ではユリ科となっていた。確かに花を見るとユリ科といわれると違和感がある。根茎は有毒なので注意。

 

深い縦ジワのある葉は長さ30㎝、幅3㎝以上あり、かなり大きな株だ。根元から1m弱の花茎を何本も伸ばして、径1㎝ぐらいの花を多数つける。

 

名前の由来だが、シュロ(ヤシノキ科)は知っているだろうか。昔は街でもよく見かけた、先端に扇状の葉を付けた背の高いアレである。シュロソウの葉は枯れて腐ると繊維が付け根に残る。これがシュロの葉の付け根の茶色い繊維と似ているとのことである。

ハスの花2021

f:id:M_majipan:20210809151228j:plain

朝、家の外に出るとムッとした湿った風を感じた。台風が運んできた南方の空気だ。

 

南方の花といえばハスである。いつ見てもインドやエジプトのような熱帯のイメージがある。7月半ばから咲き始めるが、今年はまだ咲いている。台風の影響の雨で葉に水滴がいっぱい残っている。

 

例年より大きく開いているような印象があったので調べてみた。ハスの花は早朝に開いて昼頃閉じる。それを4回繰り返し、最後に花びらを落として散っていくとのことである。画像は4日目に近いのかもしれない。

 

中央の黄色いシャワーヘッドのような花托(かたく、花びらの台)は、花後に肥大して蜂の巣そっくりの実になる。そのため「ハチス(蜂巣)」というのが名前の由来である。

f:id:M_majipan:20210809151245j:plain

暑苦しい花

f:id:M_majipan:20210804194333j:plain

画像はヘクソカズラの花である。拡大するとなかなか個性的で迫力がある。しかし名前を思い出すと一瞬鼻先を匂いの記憶が通り過ぎる。触らなければ臭うわけではないが、見る気が失せる。後に残るのはジリジリ焼けるような真夏の陽射しの印象だけだ。

 

梅雨頃、気候がムシムシし始めると、様々なところでフェンスなどにこの草のツルが這い上がる光景が見られた。細長いスペード型でツヤのない葉である。伸び方が異常に早く、あっという間にフェンスのてっぺんまで伸びて横に這い、花を付ける。

 

ブログに挙げようとツルの画像は撮っていたが、街中でもあまり多いので面白くも何ともない。暑くてどうでもよくなって、しばらく放っておいた。

 

他に暑苦しいと思うのは、ヤブガラシの花だ。見かけるとアブラゼミジージーという鳴き声が聞こえる(あくまでイメージです)。

ヨウシュヤマゴボウの花

f:id:M_majipan:20210803173021j:plain

猛暑のなかここ数日雲が多く通り雨がある。蒸し暑くなるだけなのでやり切れない。画像は水滴が残るヨウシュヤマゴボウの花だ。近づいて見ると結構ユニークな形をしている。

 

漢字で書くと洋種山牛蒡。北アメリカ原産の帰化種で別名アメリヤマゴボウだ。私は子供の頃からこちらの名前で憶えていた。草むらで2mもあるような大柄でゴツイ感じの姿が目立つ。

 

太い根がキク科のヤマゴボウモリアザミ)に似ているそうだが、ヤマゴボウ科。花を見ると全く別物であることが分かる。5枚の花びらに雌シベ雄シベが各9~12本ある。緑色の和菓子のような形の子房はすぐ膨らんで、濃い赤紫色になる。この実は簡単につぶれる。色が服につくともう取れない。

 

草全体に毒があるのでうかつに触れない。そういわれると白い花穂が赤紫に染まっているのも毒々しく見える。実は鳥が食べて(大丈夫?)種を運ぶのか、街中でとんでもない所に生えているのを見かける。

日陰のヤブミョウガ

f:id:M_majipan:20210730151503j:plain

台地に切れ込んだ谷を残した公園。奥に湧き水があって谷底は湿地のようになっている。頭上は高い木に覆われていて全体に暗く、いつもヒンヤリしている。猛暑の中、涼を求めて行ってみたところ、ヤブミョウガの群落に出会った。

 

群落はヤブミョウガ単一。画面外にも広がっているが、カメラを引くと花や葉の特徴が分からなくなる。直前に通り雨があり、濡れて乾ききらない葉の緑と光の反射が鮮やかである。谷底がこの花で埋め尽くされていると、なかなか見ごたえがある。

 

確かに葉はミョウガにそっくりだ。ただしツユクサ科で、ミョウガはショウガ科である。花の造りが全く異なる。

 

この花は咲き始めの今頃が一番スッキリして美しいと思う。涼し気な「日陰の花畑」だ。この花は夏中咲き続けるが、もう少し花が進むと花ガラや実が混じってきて見栄えがしなくなる。

 

f:id:M_majipan:20210730195606j:plain