駅で線路沿いに咲くシンテッポウユリを紹介したが、その後街中でやたら見かけるようになった。昨年は今頃外を出歩かなかったのでわからないが、急に増えたように思う。
台湾原産のタカサゴユリと、南日本に自生するテッポウユリの交配種である。前者から8月中旬~9月初旬の遅い花期を、後者からは純白の花色を引き継いでいる。本家のテッポウユリとは花は見分けがつかないが、花期が異なるのと、葉が細いところが違う。
増えてきた原因は、思うに気候温暖化で南方系の出自が幸いしたことと、きれいで見ごたえがあるので誰も抜こうとしないせいではあるまいか。定義上は立派な侵入種であるが、白いユリを雑草と思う人はいないだろう。野生化している園芸種のヒメヒオウギズイセンや、中国原産の外来種セリバヒエンソウが増えてきているのと同じ状況だ。
種を大量に付けることと、成長の早さもタカサゴユリから受け継いでいる。そのうち街中で群落がみられるのではないか。日本在来種のユリ類とは花期が重複せず、今のところ生息場所を奪ったり、交雑して在来種を危機に陥れたりはしないようだ。