植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

シキミの花

3月も末なのに荒天でふるえるような寒さが続いた。ようやく31日の日曜日は晴れて、一転して夏のような陽気となった。遅れていたソメイヨシノの開花も始まった。観ているうちに次々と咲いてゆく感じである。

 

郊外の大きな神社の境内で見つけた高さ2mぐらいの低木。高い樹の下の半日陰のような所である。葉は5㎝ぐらいの長楕円型で滑らかな感触だ。濃緑色だが古くなると白い斑点が入るようである。

 

枝葉や材に芳香がありお香などにしたため、昔から神社やお寺に植えられている。子供の頃から知ってはいたが、お墓の近くの薄暗い場所にあることと、名前の響きから陰気な印象を持っていた。花をしげしげと見たのは今回が初めてである。

 

直径約3㎝の薄いクリーム色の地味な花だ。多くの長い花びらを持つユニークな形をしており、見ごたえがある。花びらとガク片が12枚ずつあるが区別が難しい。花期は3-5月。ソメイヨシノより少し早く咲き始める。

 

あまり聞いたことがないマツブサ科に属する。同じ科の香辛料「八角(はっかく)」とよく似た実を付けるが有毒。そのためシキミという名前は「悪(あ)しき実(み)」から「悪」が省略されたものといわれる。