紫式部。雅(みやび)な名前だが、秋に紫の実をたくさんつけるので、ムラサキシキミ(紫重実)と呼ばれていたものが変化したとのこと。6月上旬からの花も薄赤紫の花びらと黄色い雄シベが美しく、甘酸っぱいような独特の香りも印象的である。
シソ科で、樹高2~3mの落葉低木。日本全国の低山の森林に自生する。小ぶりのサクラに似た葉は毛がなくツヤもない。木全体に柔らかく優しい感じである。そのため他の木々の間に紛れるとどこにあるのかわからない。
街中でよく見かける類縁の園芸種コムラサキと比べると花も実も控えめ。しかし今の時期は香りで所在が分かる。丁寧に見ていくと多摩丘陵の雑木林では意外に多いことが分かる。