先日カワセミなど様々な鳥を見かけた横浜市の北部を流れる川。都市部を抜けると数キロにわたって田園地帯を通っている。護岸はコンクリートながらその一部や土砂がたまった中州などに木が生えており、意外に自然豊かな環境である。空気が澄み切った冬景色の中、望遠カメラを抱えて下流に2時間ほど歩いた。
カルガモとサギ類が多い中に、渡り鳥(冬鳥)のカモ類がみられた。真っ黒で額が白いオオバン(鳥)もたくさんいたが、図鑑にあるバンが見当たらない。そう思いながら少し歩くと岸の茂みから素早く水面に飛び出したものがいる。オオバンより小型で、近づくと赤い額(ひたい)が見えた。バンに間違いない。
水から顔を上げたところでしずくが垂れている。資料では真っ黒に見えるものが多いのだが、今回は光線の関係か色彩豊かに写っている。頭から首は青紫がかった灰色。羽根は濃い茶色で腹部に数本の白いスジがある。クチバシと額(額板という)は鮮やかな赤色で先端は黄色をしている。長めの脚は黄緑色だ。面白い色の取り合わせである。
眼も赤くてキツイ表情に見える。実際気が荒く、縄張りに同種が入ると激しく追い払うそうである。
クイナ科で全国の湖沼や河川、田園などに分布する。関東地方では渡りをしない留鳥だ。変わった名前の由来は「田んぼの(見張り)番」から。「鷭」という漢字があてられている。