神奈川県三浦半島の逗子(ずし)駅から葉山(はやま)にかけての海岸道路は何度も訪れている。公共交通で1時間とちょっとだから一応近場だ。海の向こうに富士山が見えて絶景である。まだ正月気分が残っていてメデタイ気分になる。
目標はずっと気になっていた長者ヶ崎だ(画像下)。葉山町の海岸で相模湾に突き出している岬である。岬の途中が途切れているように見えるが、衛星画像によると浅瀬か低い岩場でつながっているようだ。時間が早かったので太陽はまだ岬の向こうで薄暗く、海風が猛烈に寒い。根元まで行ってみたが残念ながら崩落が激しくて立ち入り禁止になっていた。
見上げると岬の北側の崖がむき出しで、地層がはっきり見える。注目されるのは何本も走っている白い層だ。海底火山由来の火山灰や軽石からなる層である。激しい火山活動が想像される。
資料によると長者ヶ崎の地質は三浦層群逗子層という名称で新生代新第三紀(850万~350万年前)の陸棚斜面に堆積した土砂からなる。以前紹介した三浦層群葉山層とともに三浦半島の基盤となっている古い地層である。富士山ができたのが10万年前(前身の火山を入れても数十万年前)とされるので、陰も形もなかった頃だ。
画像下は崖の下で拾った石(直径5㎝ぐらい)である。崩れた岩が波でもまれて丸くなったものだ。右側はごく小さな断層が見られる。左は白い部分がうねったチューブ状をしており、何らかの海底動物の巣穴の生痕(せいこん)かもしれない。眺めていると色々とイメージが膨らんで楽しい。
下は葉山の御用邸付近から見た富士山。ちょっと霞んでいるのが神秘的でよい。